大阪市の橋下徹市長が、大阪のお年寄りから大ブーイングを浴びている。
「『オバちゃんの生活は変わらへん。変えなアカンのは市役所なんや』っていうてたやんか。選挙の時ばっかり調子ええこというてからに。民主党のマニフェスト違反と何も変わらへんで!」(70代主婦)
大阪市改革プロジェクトチームは4月5日、2012年度から3年間で約548億円の歳出削減案を公表した。その中で高齢者から噛みつかれたのが、「敬老パスの有料化」である。
「敬老パス」は、70歳以上の市民に交付され、市営地下鉄や市バスに無料で乗り放題で利用できる「敬老優待乗車証制度」のこと。1972年に高齢者の外出機会を増やす福祉政策としてスタートし、2011年度は約34万人に交付されている。
橋下氏はこれを、2013年度からJRや私鉄でも利用可とする一方で、利用限度額を設定し、利用額も半額負担とするなどの見直し案を示した。歳出削減効果は最大50億円を見込んでいる。
問題は、橋下氏が昨年11月の市長選で「敬老パスは維持する」と主張していたことだ。これに、市民から「公約違反や」と批判が噴出したのである。
「大阪の年寄りをナメたらアカンで。病院通いの負担が増えるし、今までみたいに気軽にお友達に会う機会も減る。オバちゃんを敵にしたら、言いなりのお父ちゃんの分も合わせて2票は減るで」(76歳女性)
大阪人の金銭感覚は全国のどこより敏感。こうした土地柄もあってか、高支持率を誇る橋下氏でさえ、慎重に事を運んでいる。
橋下氏が敬老パス改革案を初めて公表したのは今月1日、維新の会の支援者集会だった。維新の会の美延映夫・幹事長が明かす。
「あの橋下市長ですら、怖々市民の反応を見ている、という様子でした。集会の数日前から、『みんなびっくりするやろな』と不安そうでしたからね」
※週刊ポスト2012年4月27日号