今年初めて日経平均株価が1万円台に入ったのが3月9日。それから4月4日に割り込むまで、1か月に満たない“宴”だった。この結果を見て、「やはりまだまだ日本株は厳しいのか」と肩を落とす必要はない。いまは長い上昇トレンドのほんの“踊り場”に過ぎない。
今回、週刊ポストでは震災後高値から現在までに下落率の高かった東証1部銘柄をリストアップ。上位50社の中から再騰する期待の高い銘柄について、専門家4人に厳選してもらった。
まず、カブ知恵代表の藤井英敏氏が注目したのは、収益環境が良くなると期待されて3月まで値上がりを続けていた証券株。
「大手証券に比べて対面販売が主流で株式の委託手数料の比率が大きい中小の証券会社は、市況回復場面では有利に働きます。そこで地元・茨城で対面営業に力を入れる水戸証券(8622)を選びました」
『日刊チャート新聞』編集長・澤部潔氏は、大手銀行株の中から、週足チャートの上昇トレンドをつかみ、みずほフィナンシャルグループ(8411)を推す。来年には傘下2行の合併も控え、中長期で持っておきたい株だという。
次に、2月14日に日銀が実施した金融緩和で、敏感に反応した不動産株。上位50社で下落率(19.19%)がトップだったフージャースコーポレーション(8907)に敢えて狙いをつけたのは、藤井氏。
「足元ではマンション販売が好調のようですし、震災の影響でマンション価格が下落すると見られていましたが、その影響もいまではきれいに収まっています」
同じく不動産株から、T&Cフィナンシャルリサーチの剣持和正氏は、賃貸物件が主力のレオパレス21(8848)を挙げる。多くの株式アナリストたちの観測では、不動産株は消費増税前の特需も期待できるという。
一方、フィスコ株式アナリストの小中優氏は、ようやく本格化しつつある震災の復興関連株に目を向ける。
「各種発電所や変電所のメンテナンスを手掛ける東京エネシス(1945)は、特に火力発電所向けの高需要継続に期待が高まっています。今期は業績鈍化が見込まれていますが、PBR(株価純資産倍率)は0.3倍台と割安なのでカバーできると思います」
また、藤井氏はごみ処理施設建設のタクマ(6013)が注目銘柄だという。
「岩手県宮古市でがれき処理の仮設焼却炉が稼働していますし、がれき総量の3割を占める宮城県石巻市でも順次稼働する予定です」
※週刊ポスト2012年4月27日号