五輪の舞台に美女スイマーが帰ってくる。かつて女子高生スイマーとして注目を集めた寺川綾(27・ミズノ)が、4月の水泳日本選手権女子100m背泳ぎで、日本新記録を樹立。見事に8年ぶりの五輪出場を決めた。
「アテネ五輪で憶えているのは、レースで8番だったこと。それだけです。どうやって泳いだのか、まったく憶えていないんです」
アテネ以降、伸び悩んだ彼女は、2008年の北京五輪選考会で敗れ、本戦への出場権を逃した。誰もが「寺川は終わった」と思ったが、彼女はここから奇跡的な復活を遂げる。北島康介を育てたことでも知られる平井伯昌コーチに師事。記録は急激に伸びた。
「実は、今度の選考会で泳ぎ終わった瞬間、日本記録で代表決定という掲示画面を見ても、心底嬉しくはなかったんです。そこが選手として成長できたところだと思います」
自己ベスト記録を出しても心から喜べなかったのは、さらなる高みを目指していることの証だ。
「ロンドンでは、100mで自己ベストを目指します。メドレーリレーでもメダル獲得できるように頑張りたいですね。目標は一つに絞られたのでやるしかありません!」
8年越しの夢――五輪でのメダル獲得は、もう手の届くところにある。
【プロフィール】
■てらかわ・あや/1984年11月12日、大阪府出身。高校2年時に、福岡での世界水泳に初出場。昨年の世界水泳上海では、100m背泳ぎで5位入賞、同50mでは銀メダルを獲得。4月の日本選手権では100m背泳ぎで自身の日本記録を0秒03更新した。身長173cm。
撮影■藤岡雅樹
※週刊ポスト2012年4月27日号