世の中には、様々なアンチエイジング法があるが、多くの男性が興味を持っているのが「植毛」だ。しかし、その植毛でとんでもないことになるケースもあるという。テレビなどでトンデモ実験を行う異端サイエンスライター・川口友万氏(46才)が、植毛手術を受けた際の、まさかのエピソードを披露する。
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嫁は朝からうんざりした顔をしていた。オレが植毛手術に行くからだ。
「モテたいわけ?」
モテたい、と答えかけて、理性が止めた。これも仕事なんだよ。
「はあ~そうなんだ」
あ、バレてる。見透かされている。バカだと思われてる。
アンチエイジングの本のために、後頭部の毛を引き抜き、薄くなった部分に移植する自毛植毛を受けた。オレのM字脱毛を見た医者が、これは深刻ですね、といったからだ。
手術は無事に終了、M字脱毛がV字に変わった。が、翌朝。ぎゃ~! 血が、血が! 包帯でわからなかったが、毛を抜いた後頭部は血まみれ。寝ている間に包帯が外れ、枕が惨殺死体のように! 嫁は恐る恐るオレの後頭部を覗き込み、爆笑した。な、なに?
「お正月の! お獅子が! 口から血を吐いてる!」
毛を抜いた部分がちょうど長方形になっていたので、口から血を吐いているように見えたらしい。あはは、で、包帯かガーゼかありませんかね?
「これ、あてれば?」
渡されたのは女性用ナプキンだった。これ?
「テレビでやってたのよ」
テレビでやってりゃ正義か? 日ごろの行いのツケは、こういうときに払わされるんだなあと、ナプキンを頭に貼り付けながら、思ったのだ。
※女性セブン2012年4月26日号