国内

国の調査事業 こんにゃくゼリー販売実態調査等必要性に疑問

 週刊ポスト4月13日号で読者からのシロアリ駆除依頼を募集したところ、全国から多数の「出動要請」が寄せられた。そのなかに、中部地方に住む男性からの興味深い告発があった。

 メールの内容を簡単に紹介するとこうだ。

「昨年、総務省から家計消費状況調査についての協力依頼のハガキが来た。1か月程度、要請通りに家計簿を付けていたが、書類をよくよく見ると、請け負っているのは『社団法人新情報センター』という初めて聞く団体で、家計簿を回収しに来た調査員の素性も不明。公平、公正に税金が使われているのだろうか」

 政府のリサーチ事業に疑念を抱いたようだ。

 早速、本誌・駆除隊が調べてみると、同センターは、国や自治体から9億1200万円(2010年度)の調査業務を受託する典型的な天下り法人だったことが判明。会長は元内閣府迎賓館館長、監事には元総務庁恩給局経理課長が就いている。

 政府発注の調査は無数に存在する。読者の方も何かひとつぐらいは調査を受けたことがあるかもしれないが、「国勢調査」や「家計調査」、「労働力調査」、「不動産取引価格情報の提供に関する国民の意識調査」……と挙げていけばキリがない。

 たしかに国勢調査など不可欠なリサーチ事業も多いが、必要性に首をかしげたくなる調査も多い。

 例えば消費者庁が行なった「こんにゃくゼリーに関する販売実態調査」だ。全国1000舗を対象に行なわれ、ゼリーをお菓子コーナーで売っている店が半分あり、7割で警告表示がなかったという事実を突き止めた。

 数多ある調査事業と同じくらい、それに群がる天下りリサーチ会社が存在する。

 国からの補助金が収入の97.7%を占める「財団法人世界政経調査会」もそのひとつ。元内閣官房危機管理監、元九州管区警察局長、元関東財務局長、元最高検察庁次長検事らが理事に名を連ねる。補助金の中身は古巣の内閣官房からの随意契約(「情報調査委託費」)というお手盛りだ。

 元北海道開発事務次官が理事長を、元国交省大臣官房総括監察官が常勤理事を務める「財団法人経済調査会」。ここは官僚天国を象徴する公務員宿舎建設に必要な経費の調査を財務省から1100万円で請け負った(2011年)。

 官公庁発注のリサーチ事業の実態を調査している日本マーケティング・リサーチ協会の担当者がいう。

「省庁の調査は発注、受注の経過が不透明で、その多くを独占的に省庁系列の外郭団体や公益法人が請け負い、なかには受注金額さえ明かされない事業もある。情報を開示して入札を行なうことを徹底すれば民間事業者も参入でき品質やコストの競争ができるはずだ」
 
※週刊ポスト2012年4月27日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン