『仮面ライダー』の生みの親である石ノ森章太郎といえば、『サイボーグ009』や『人造人間キカイダー』など改造人間をテーマとした作品が多く、生涯作品数は約770作。一人の著者が描いたコミック出版作品数が世界一多い漫画家として有名だ。
もともと正円をフリーハンドで描けるほど絵がうまく、レイアウトとコマ割りの見事さも職人芸。高校在学中に漫画家デビューし、あのトキワ荘で漫画家として本格始動。1966年頃には数々の漫画賞も受賞。1971年から原作者として取り組んだのが『仮面ライダー』シリーズだ。
そんな石ノ森章太郎が描く漫画世界が楽しめる施設として2001年開館したのが石巻市の「石ノ森萬画館」だ。
出身地・登米市の「石ノ森章太郎ふるさと記念館」が石ノ森の人間性に出会える施設なのに対し、こちらは石ノ森ワールドが体験できる施設として全国のファンから愛され、ライダーファン必見の聖地にもなっていた。
「東日本大震災の津波で周囲の建物はすべて流されました。『萬画館』もかなりの被害に遭いましたが建物は残り、2階以上にあった貴重な原画などは無事で、スタッフなど人的被害がなかったのがせめてもの救いでした」(同館を運営する「街づくりまんぼう」木村仁統括部長)
現在、有志などの協力もあり、展示物を震災前に近い状態に戻す作業が進められている。石ノ森章太郎作品と仮面ライダー、その素晴らしさは永遠に語り継がれていってほしい宝だ。
※週刊ポスト2012年4月27日号