加齢臭が気になる季節がやって来た。加齢臭といえば、「耳の後ろが臭くなる」というのが、都市伝説のようによく聞く話だ。専門家に問い合わせると、「都市伝説ではないですよ。耳の後ろが臭う、というのは理由があるんです」との答え。自らの加齢臭と闘ってきた『加齢臭読本』の著者で、ネット文筆家の奈良巧氏が報告する。
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居酒屋で、おしぼり袋を「パンッ」と割り、手を拭くかと思えばいきなりメガネを外し、耳の後ろを念入りに拭き始めるオヤジ世代は少なくない。
「あれ、どうしてなの。キモイんですけど」。こういうOLの声は届いているのかいないのか、耳の後ろを念入りに拭く行為は広まりこそすれ、一向に収まる気配はない。
この原因ともいえるのが、都市伝説かというくらい良く聞く話だ。「加齢臭は、耳の後ろが臭くなる」。これは果たして本当なのか。そこで、筆者はライオンのビューティーケア研究所で、30代の脂臭さを研究している藤山昌彦さんに聞いてみた。
「都市伝説ではないですよ。耳の後ろが臭う、というのは理由があるんです」。意外な返事が帰ってきた。人間の体の中で皮脂の分泌量の多い場所というのは限られているという。
【1】頭皮
【2】額から鼻にかけてのいわゆる「Tゾーン」
【3】耳の後ろから首全体にかけて
【4】両胸、及び胸の中心部
【5】両脇
【6】背中の中心部(肩甲骨に挟まれた、背骨に沿った縦の部分)
【7】おへそとその周囲
【8】陰部
このような場所から皮脂は多く分泌される。その皮脂を放置しておくといずれは酸化する。この臭いが加齢臭になるわけだ。
「耳の後ろから加齢臭が出る理由は3つあります。まず、皮脂が出やすい。次に、その割には洗い忘れやすい場所。そして、他人の鼻の位置に近いので、ニオイが認識されやすい。この3つの条件が揃ったので、ニオイやすい、と言われるのでしょう」(藤山さん)
加齢臭を防ぐには、こういった皮脂の分泌しやすい場所をきちんと認識して、そこからニオイが発生するのを防がなくてはならないわけだ。
まずはオシボリでもなんでもいいから、皮脂の出やすい場所は念入りに拭くべきだろう。但し宴席で拭ける箇所は限られている。くれぐれもご注意いただきたい。