ロンドン五輪開幕まで100日を切った4月20日、金メダルを目指すなでしこジャパン・佐々木則夫監督が成田空港を飛び立った。24日にロンドンで行なわれる組み合わせ抽選会に出席するためだ。
今回、女子サッカーの出場国は、以下の通りだ(カッコ内は現在のFIFAランク)。
開催国:英国(9)
欧州:フランス(6)、スウェーデン(5)
アジア:日本(3)、北朝鮮(8)
オセアニア:ニュージーランド(24)
北中米:米国(1)、カナダ(7)
南米:ブラジル(4)、コロンビア(28)
アフリカ:カメルーン(52)、南アフリカ(65)
これら12か国が、4チームずつE~Gの3つのグループ(A~Dは男子に使用)に分かれて1次リーグを戦い、各組2位以内および3位のうち成績上位2か国の計8チームが決勝トーナメントに進出する。
もちろん、現段階では、なでしこがどこの国と対戦するかはわからない。にもかかわらず、「なでしこはF組。英国、米国とは同じグループに入らない」、と大胆に予想するのは、女子サッカー取材歴約10年、佐々木監督の最新刊『なでしこ力 次へ』(講談社刊)の構成を担当した女子サッカージャーナリスト・江橋よしのり氏だ。
「開催国英国がE組に入ることは、すでに大会組織委員会から発表されています。また、過去の五輪の組み合わせを参考にすれば、前年W杯王者のなでしこと、前回五輪王者の米国が、残る2つの“シード国”扱いになることでしょう」(江橋氏。以下、括弧内同)
また、サッカーの世界大会では、同じ地域の国同士が同じ組に入らないよう配慮されるのが通例だ。
「したがって今回も、なでしこと北朝鮮は別の組に入るでしょう。同様に、欧州のフランス、スウェーデンは、英国と別の組に振り分けられます。つまり、なでしこはフランスかスウェーデンと2分の1の確率で必ず当たることになります。いずれも昨年のW杯ベスト4で、日・英・米に続くメダル候補。油断ならない相手です。
さらに、アテネ、北京と2大会連続で銀メダルのブラジルが控えています。このブラジルが英国の組に入ってくれたら強豪が3グループにうまく散り、全体のバランスが取れるのですが……。もしブラジルと同居となれば、“死の組”確定ですね」
江橋氏の予想する“最悪”の組み合わせは、『日本、フランス、ブラジル、カメルーン』。逆に“最高”は『日本、スウェーデン、カナダ、コロンビア』だという。
「ところが、佐々木監督の意見は少し違うんです。監督は『グループ3位でも1次リーグを通過できるのだから、死の組も望むところだ』といいます。特に、近年公式戦で直接対戦の経験がないフランスとは、決勝トーナメント1回戦で当たるほうが怖いので、むしろ1次リーグで当たっちゃったほうがいい、ということでしょう。勝てば勢いがつくし、負けても教訓を活かせますからね」
確かに、強敵揃いのグループから這い上がり、メダルに向けて突き進んでいくなでしこの姿を想像してみれば、昨年のW杯同様、日本中が彼女たちの「あきらめない心」に胸を打たれる様子が目に浮かぶ。江橋氏は最後に、「なでしこF組」という大胆予想の“根拠”を明かした。
「試合のスケジュールを見ると、不思議なことにF組1枠だけ、英国時間の昼12時という早い時間帯にキックオフされるカードが存在するんです(7月28日の第2戦)。日本との時差は、夏期のため8時間。つまり日本の土曜夜8時から試合が始まる。もし、この枠をなでしこが引き当てたら、関係者も日本国民もかなりオイシイはず。厳選なる抽選が行なわれるとはいえ、佐々木監督の強運ぶりが発揮されることを期待したいですね」
なお、F組1枠の1次リーグ日程と会場は、下記の通り(時間はいずれも日本時間)。
第1戦:7月25日(水)25:00~/コベントリー
第2戦:7月28日(土)20:00~/コベントリー
第3戦:7月31日(火)22:30~/カーディフ
もし、この予想を信用するなら、なでしこジャパンを現地で応援する予定のサポーターは、今のうちにコベントリー(ウェスト・ミッドランズ州)とカーディフ(ウェールズ)のホテルを探してみるのもいいかもしれない。