「青森」や「米沢牛」といった日本の地名やブランド、さらには「ICHIRO」や「木村拓哉」といった人名でさえ中国で商標登録されている問題が、ここに来て大きくクローズアップされてきている。
では、日本側はどう対処したらいいか。実は今、ジェトロ(日本貿易振興機構)北京センターが、47都道府県の名称、地域名付きブランド名などを集めたハンドブックを作成中で、4月中に中国商標局に渡す予定だ。商標局の審査官が日本の地名などをよく知らないために冒認出願を認めてしまうケースもあり、それを防ぐ狙いがある。
中国における知的財産権侵害の問題に詳しいオンダ国際特許事務所理事の谷尾唱一氏はこう語る。
「冒認出願されていることを見つけて取り消しを求めるという対症療法ではなく、商品などを開発したら、中国に輸出する計画があろうとなかろうと、すぐに自ら出願、登録しておくという予防策が必要です」
出願料は1商品分野あたりわずか1000元(約1万3000円)に過ぎず、出願を代行する代理店の手数料を含めても日本円で15万円程度だという。その程度の額で本来の権利が中国の貪欲から守れるのである。
※SAPIO2012年4月25日号