子供を持つ女性が避けて通れないのが「PTA」という存在。4月、ママたちが憂鬱になるのが、「役員決め」だ。ほとんどスムーズにいくことのないこのイベントが、その後のママ友関係を大きく左右することになる。
「学年最初の保護者会の最後に役員決めがあるのですが、本当に針の筵。誰もやりたくないので、下を向いたままシーンと数分…。結局、いちばん気の弱い人が、その沈黙に耐えられなくなって役員を引き受けることになるんです」(中学2年生の息子をもつ40代・専業主婦)
「うちの高校では、立候補者がいなければ、最後にはくじ引き。欠席していても『○○さんの分』といってくじを引かれるので、逃れることはできません。
一度、フルタイムで働いているお母さんがくじでいちばん大変な本部の役員にあたってしまい、電話を受けたときに泣き崩れてしまったとも聞きました」(高校2年生の娘をもつ50代・パート)
なり手がいない場合、標的にされやすいのが専業主婦。しかし、外で働いていないとはいえ、親の介護や自らの体調など、それぞれに事情を抱えているもの。それゆえ、ときにはこんな事態を招くことも。
「“役員を断るならその理由を絶対いわないといけない”と主張するお母さんがいて、ひとりひとりに理由を聞いていきました。そんななか、『どうしてもできないんです』と理由をいいたがらないママがいて。『専業主婦なのにどうして?』と問いつめると、そのかたは目に涙を浮かべ、小さな声で『体調が悪くて…がんなんです』と。その場が一瞬凍りつき、結局、他のママが引き受けてくれました」(40代・自営業)
ところが、「誰もやりたがらないなら、私が」と他のママたちのことを思って立候補したことが、とんだ軋轢を生んでしまう場合もあるから、ややこしい。
「役員決めの重い空気がイヤ」と、自ら手を挙げて子供の中学の役員になったAさん(40代・専業主婦)は、しばらくしてから「あの人は本当にでしゃばりで困る」「役員をやりたい人が他にたくさんいるのに、しゃしゃり出ていい気になって。何かおいしいことでもあるのかしら」などと陰口をいわれるようになってしまった。
「後で知ったのは、その噂を流した人は、実は役員がやりたかったということ。でも自分で手を挙げてというのは格好がつかないので、推薦してくれる係のような友達を立てて、その推薦で『いやいやなったけど、がんばる』みたいなシチュエーションを用意していたみたいなんです。それを私が邪魔したかっこうになったために、逆恨みされて。女同士って、本当に面倒くさいですよね」(Aさん)
※女性セブン2012年4月19日号