夏を前に加齢臭対策の商品が続々出現している。この中で最もよく見るのは「柿渋」セッケンだ。専門家に問い合わせると「柿渋などの成分が入っていないと加齢臭はほとんど消えない」との答え。自らの加齢臭と闘ってきた『加齢臭読本』の著者で、ネット文筆家の奈良巧氏が報告する。
* * *
「パパは臭いから、全身しっかり洗ってね!」。こう家族に怒られながら、自宅の風呂にあるセッケンで、しみじみ体を洗っているオヤジ世代の人も多いと思う。
ところが、いくら洗っても大してニオイは消えず、「あなた全身が加齢臭の原因物質で出来てるんじゃないの」などとなじられることもある。これは一体どうしてなのか。
こうした人に向け、加齢臭を消すための新商品が続々発売されている。最近は「ドクダミの力で加齢臭を消す」というような新石鹸も出てきているが、やはりオーソドックスなのは「柿渋」成分だ。
柿渋は、天然の防腐剤、脱臭剤として、古くから使われてきて、防腐剤として建築材料の木材に塗られたり、うちわの和紙に塗られ、補強材として使われたりもしてきた。この柿渋に含まれる「ポリフェノール成分」が、加齢臭の原因物質を強力に分解する、というのだが本当なのだろうか。
セッケンのプロに聞いてみたところ、驚くべき答えが返ってきた。
「加齢臭を押さえるポリフェノール素材としては、さまざまな商品に柿渋がもっとも使われています。効果バツグンの素材です」
説明してくれたのは、ペリカン石鹸品質保証部の高柳勇生さん。
「この柿渋をセッケンに入れた場合、入れていない場合での比較数値があります。【柿渋入り=96.6%】【柿渋無し=33.1%】です」
ええー! と叫び出したくなるような、劇的な実験効果だ。
実験は、加齢臭の原因物質「ノネナール」とセッケンを液体にしたものをビーカーに入れ、一定時間をすぎた後のノネナールの分解された量を調べたもの。柿渋の入ったセッケンを使うと、加齢臭の10割近くが分解されているが、柿渋などの加齢臭対策成分が入っていない石鹸では、3割強しか分解できていない。
いくらセッケンを使って律儀に体を洗っていても、それだけでは加齢臭を押さえることはできないというわけだ。