橋下徹・大阪市長率いる大阪維新の会が国政に打って出ることを受けて、様々なスキャンダル情報が駆け巡り始めている。
橋下氏は大阪市職員労組の選挙活動を厳しく批判して追及してきたが、そのさなかに捏造された選挙支援職員リストが大阪維新の会に渡り、それをもとに議会で質問した同会の議員が労組側の反撃で逆に窮地に立たされた。まるで永田寿康・元民主党代議士を死に追いやった偽メール事件を彷彿させる。
そして政権を握る既得権勢力が、1人の政治家を政治的に抹殺する最も効果的な方法は、「冤罪」で捜査当局を動かすことだ。
敵対陣営が橋下氏や維新の会幹部に“口利き目的でカネを渡した”という供述をでっちあげれば、それを端緒に捜査当局が強制捜査を掛け、大メディアが「悪人」のレッテルを張る。これで橋下人気を一気に蹴落とすことができる。小沢一郎・元民主党代表の西松建設事件や陸山会事件がまさにそうだった。
小沢公判は対岸の火事ではない。小沢氏と手を結ぶ動きを見せた瞬間、橋下氏にもこれから“第2の陸山会事件”が起きると覚悟したほうがいい。
これが真に既得権との全面対決なのだとすれば、やはり同調する勢力の結集は最低限必要な戦略となる。つまり、「小沢と橋下は組めるのか」だ。
みんなの党の渡辺喜美・代表が語る。
「もし橋下氏自身が総選挙に出馬すると決断すれば、インパクトは非常に大きい。その時は各勢力がバラバラで戦うのではなく、反増税と原発再稼働阻止、地方主権の実現など政策と理念で一致する勢力が合流し、霞が関を中心とする既得権集団を守ろうとする民主・自民の増税連合と雌雄を決する状況が生まれる可能性がある。
そうなれば100議席や150議席では意味がない。300選挙区すべてに候補者を立てて過半数を得なければならない」
大同団結へ向けた「静かな政界再編」が、まさにこれから始まる。
※週刊ポスト2012年5月4・11日号