「脳腫瘍」「植物状態」「Xデー」……一昨年から昨年にかけて創価学会名誉会長・池田大作氏の体調不隠情報がメディアで乱れ飛んだ。だが今年に入ってから一転、そういった記事はぱたりと見かけなくなった。
実は最近では、池田氏の健康状態が「回復しつつある」という真逆の説が有力なのだとか。
今年1月に84歳を迎えた池田氏が公の場に姿を見せなくなってから、すでに2年近く経つ。長年政界担当を務めた創価学会の中枢幹部が近況をこう話す。
「脳梗塞を発症して、一時は寝たきりに近かった先生ですが、今年に入り、徐々に快復傾向にあると聞きます。少し言語障害は残っているものの、意思もはっきりしていて実務についての判断能力もあり、自分で食事を摂られるそうです」
同様の証言は、他に複数の学会関係者から得られた。
その根拠とされるものが、相次ぐ池田氏の新連載である。まず、潮出版社の月刊誌『パンプキン』4月号から、池田氏のエッセイ「忘れ得ぬ旅」がスタートした。さらに5月からは聖教新聞社が発行する小学生向け『少年少女きぼう新聞』、中学・高校生向け新聞『未来ジャーナル』にも池田氏の新連載が予定されている。
古参会員は喜びを隠さない。
「名誉会長が重篤ならば、新連載など始められるわけがない。スタート直後に中断となれば会員の動揺は大きく、外部にも格好がつかない。つまり少なくとも、あと1~2年は健在だと発行側が判断した根拠がある」
池田氏の存在を意識させる事件はその直前にも起こっていた。聖教新聞は2月21日、〈矢野氏との裁判終了〉という記事を掲載した。矢野氏とは、元公明党委員長で数々の学会暴露本を著わしてきた矢野絢也氏を指す。同氏と学会の間で争われていた4件の民事訴訟について和解が成立したことを正式に発表したのだ。
この顛末について、ある学会幹部はこう話す。
「犬猿の仲だった矢野氏との和解は学会の大きな方向転換を示す。これほどの重要決定には当然、名誉会長の判断が不可欠だ。“自分の代で起きたゴタゴタは処理し、後継体制の不安を取り除きたい”との思いがあっての決断と聞いています」
和解を実務面で主導したのは、「次期会長候補の呼び声が高い谷川佳樹・副会長だった」(同前)。谷川氏に近いこの学会幹部の話が本当なら、池田氏の意向に沿って和解を実現させた同氏の次期会長への道はもはや当確といっていい。
※週刊ポスト2012年5月4・11日号