昭和の昔から、おねしょの布団は干さなければならず、布団に尿で記されたしみは「おねしょの地図」と呼ばれて揶揄されたものだ。ところが、40度までのお湯をかけることで、中まで完璧に洗うことができるマットレスが人気で、バカ売れしているという。新商品は子供向けだが、高齢化社会ゆえに注目の商品だと、ネット文筆家の奈良巧氏は指摘する。以下は、奈良氏の報告だ。
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2010年には3億だった売り上げが、2011年は11億、そして2012年の売り上げ予測は25億。この不況下に、驚異の売り上げ増を果たしている会社がある。
ウィーヴァジャパンは、かつては中部化学機械製作所という名前で、樹脂射出成型機の製造装置メーカーだった。現社長が叔父よりこの会社を引き受けたのは2007年のこと。細い穴から合成樹脂を射出して、水の中で固めることで、寝具のマットレスパッドの素材を作り始めて快進撃が始まった。
釣り糸を固めたような素材は、抜群の通気性と耐水性を持つ。「空気(エア)」を「編む(ウィーヴァ)」という由来のエアウィーヴという商品が急成長をもたらしたのだ。
4月18日に発売されたのは「エアウィーヴKIDS」という子供向けの寝具。硬めの素材で骨盤部分を支えるので、理想的な寝姿勢となり、また、寝返りもしやすいので腰を痛めにくい。シングルで5万3550円、セミダブルで6万5100円となかなかの価格だが、価格に見合った機能だと感じた。
成長過程では柔らかい子供の骨格に注目して、サポートをする優れた商品だが、ポイントはそこだけではないようだ。
発表会の会場で筆者が気づいたのは、このマットレス完璧に洗うことができるという点だ。
会場の説明員は、「確かに40度までのお湯をかけることでマットレスの中まで完璧に洗うことができますね。これは他社のマットレスに無い当社独自の機能です」と語る。
「つまりは、おねしょをしても完璧に洗えますね」こう突っ込んだ筆者に「はい、そうなんですが、そこのところは特には我々からは申し上げていません」と、説明員。
昭和の昔から、おねしょの布団は干さなければならず、布団に尿で記されたしみは「おねしょの地図」と呼ばれて揶揄されたものだ。「エアウィーヴKIDS」はカバーは外して洗濯機で丸洗いでき、マットレスの本体は釣り糸を固めたような素材なので、シミも付きようがない。この懐かしい「おねしょ地図」は、消滅してしまうのだ。
実はこの「おねしょフリー」機能は、高齢化社会の現代にこそ必要なもの。いくら高くて体にいい寝具を買っても、粗相をして洗えないものは使えないという時代なのだ。耐水性があり、通気性のある素材は大人向けの高級寝具にこそ使える。冒頭の売り上げの倍々状況は、実はこんなところが支えているのかもしれない。
【参考・大人向け商品】
(寝具の上に重ねて使う商品)
・エアウィーヴ・シングル6万6150円
・エアウィーヴ・ダブル9万2400円
(布団として単体で使える商品)
・エアウィーヴ四季布団シングル8万7150円
・エアウィーヴ四季布団ダブル12万3900円