来る総選挙に向けて、民主党は宗教団体との連携強化に動き出している。
増税法案の閣議決定を間近に控えた3月22日、参議院議員会館で民主党議員約30人(代理出席を含む)が、「宗教と政治を考える会」の総会と勉強会を開いた。主催した同会会長は仙谷由人・政調会長代行である。
2009年総選挙では、立正佼成会、PL教団、崇教真光など反創価学会の70教団が加盟する新宗連(新日本宗教団体連合会)が、公明党を下野させるために民主党に全面協力し、政権交代の「影の原動力」となった。仙谷氏は、当時から「宗教と政治を考える会」会長として宗教票の獲得に奔走した。
だが政権交代以降、新宗連の民主党支援は鈍くなり、同会も事実上、活動休止状態となっていた。それが活動再開した理由は何か。
「総選挙に向けて、仙谷さんは宗教票をもう一度取りまとめようとしている。また、宗教票で若手議員を誘うという、9月の代表選挙をにらんだ動きでもある」(勉強会出席者)
つまりは宗教票が総理を決めるというわけだ。
自民党のように業界や地域ごとに強固な支持組織を持つわけではない民主党にとって、全国規模で選挙支援が期待できる新宗連の魅力は大きい。なかでも、多数の票を握る立正佼成会(公称信者数約349万人)は定期的に全国支部を集めた政治教育を行ない、それを各支部が持ち帰り勉強会を行なっている。学会に対抗できる唯一の巨大教団だ。
仙谷氏ら民主党議員が「宗教と政治」に注目するもう一つの理由は、「石原新党」の存在である。
生長の家の支持で政界に進出し、自民党で宗教票のまとめ役を担った村上正邦・元参院議員は語る。
「かつて創価学会を除く宗教票は、自民党支持でまとまっていた。それが今は民主と自民に二股をかける団体が多く、理念や主張で支持するわけではないから、熱もなくなっていた。
だが、石原新党を構想する石原慎太郎、平沼赳夫、亀井静香の各氏は、霊友会や生長の家などの宗教団体と深い関わりがある。石原新党が実現すれば、それらの保守系の団体がもう一度まとまる可能性がある」
※週刊ポスト2012年5月4・11日号