新党構想や地域政党ブームなど新たな政治トレンドの中で、創価学会以外の新宗教の政界アプローチが進んでいる。
近年、小規模な宗教団体までが政治進出をためらわなくなっている。
2010年まで6回連続で参院選に10人前後の女性候補者を立てている「女性党」という政党がある。「国会議員の半数は女性がやりましょう」をスローガンに掲げ、子育て支援などを訴えてきたが、現在まで全員落選している。
実はこの女性党は、化粧品訪問販売会社「アイスター商事」のセールスレディを中心に、同社の創業者、西山栄一・会長が唱える「新しい時代づくり」「平和な世界の創造」を政治面で実践するために立ち上がったものだ。一方、この理念を宗教的に実践するのが「和豊帯の会」という宗教法人で、女性党と和豊帯の会は一体となって活動してきた。
アイスター商事広報部は、「政治も宗教も、アイスターの関係者が個人として参加しているものだ」と認める。過去の取材では、「会長の考えを世界へ広めるには、企業とは別に宗教法人や政党としてやらなければならない。企業の利益追求のために政治権力や宗教法人の免許制度を利用するのではありません」(1995年8月7日号『AERA』)と答えている。
宗教団体が政治に野心を抱くことと、政治側が宗教を利用してきたこととは表裏一体である。「宗教にあわせて崇拝グッズもそれぞれ買っておくのが秘書の基本で、宗教を掛け持ちして入信する秘書もいる」(民主党秘書)という政治側の節操のなさが、政教分離の希薄化を一層助長している。
確かに宗教団体の政治活動を禁じる法律はないが、法的にも税制面でも手厚く保護される組織が政治に影響力を行使することは、場合によっては国民全体の利益を損なう危険を伴うことは忘れてはならない。
※週刊ポスト2012年5月4・11日号