「ハシズム(橋下主義)を許すな!」。快進撃を続ける橋下氏に対し、学者や評論家による批判がヒートアップしている。しかし10年来の付き合いがあるという大阪の落語家、桂ざこば師匠はあまたの「橋下批判」を一刀両断するとともに、来るべき「橋下首相」に熱烈エールを送る。
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なんか橋下さん、ぎょうさん叩かれてるらしいな。「政治手法が強引だ」「独裁者だ」ってな。批判する人はまず大阪来て、自分の目で見てみぃっちゅうんや。現場に足も運ばんで、安全地帯から批判だけしている。自分にはそういうふうに映るなあ。
橋下さんとの出会いはテレビです。「たかじんのそこまで言って委員会」(読売テレビ)だったか、別の番組だったか、それでもかれこれ、10年近くになるんとちゃうか。
最初から、気がものすごう合いました。向こうも苦労してるし、どっちも下町育ちや。お上品な育ちやない。向こうは僕らが思ってることを、ビビらんとズバっと言ってくれる。代弁してくれるんや。それで随分問題にもなったけどね(笑)。
こっちも、乗せられていらんことたくさん言うてしもうたわ。橋下さんの物言いは、そりゃあ、小気味エエよ。切れ味が違うね。
2007年の終わりに大阪府知事選に立候補表明した時は、「あっ、出た」と思ったね。それまでは、「そこまで言って委員会」司会の辛坊治郎さんの名前が挙がったりしてね。出ると分かった時、本人にこう言ったんや。「よっしゃ、大阪のこと、あんたに任すわって」
去年11月の大阪府知事、大阪市長のダブル選挙の当選記者会見で、現場に駆け付けたのも、ひと言、頑張れと言いたかったからや。
あの時は自分も質問したで。「自分も大阪市民やったけど、政治のことはなんのこっちゃ分からへん。(今まで自分は)ただ生きてきただけや。ただ流されてきただけや。いったい、大阪のエエとこ、悪いとこはどこや?」
そしたら橋下さんはこう言ったね。「街自体に力がある。これがいいところ。しかし政治に無関心だった。これが悪いところ」だと。だから言ったんや。「あんじょうしてや」。
わざわざ「あんじょう」ちゅう言葉を使ったのは、東京から来たマスコミへのメッセージ。「あんじょう」は、具合よく、ちゃんとしてな、という意味やけど、東京らの人は、すぐに分からんやろ? これはウチら大阪の話や、と念押ししたかったんや。
独裁と批判する人に言いたいのは、あんたら、橋下さんのやろうとしていることの中身をちゃんと見てますかってことや。
現に見てみい。橋下さんの周りには人が集まってきてる。作家の堺屋太一さんに、元経産官僚の古賀茂明さん。前杉並区長の山田宏さんや前横浜市長の中田宏さん。
皆、それぞれ何かなした人たちや。何も分かっとらん人たちやない。そういう人たちが、「橋下の言っていることは分かる。もっともだ」と言って、集まってきてるんや。進んでブレーンになっている。もし、独裁だったら、こないなこと、起こるやろうか?
「敵を仕立て、それを批判して人気を得る」という批判もおかしい。批判されてるのは、今まで何もやってこなかった連中や。それなのにな、「橋下のやろうとしていることは分からない」だって? 分かろうとしていないだけや。分かろうと努力もしてへん。
民主党の輿石東幹事長がこのあいだ、橋下さんに向かって「受けて立つ!」とか言ってたらしいけど、何を受けて立つつもりなんやろ? オカシイと思うなら、もっと具体的に批判せんとアカンよ。
※SAPIO2012年5月5・16日号