4月13日、連続不審死事件で男性3人の殺人罪などに問われていた木嶋佳苗被告(37才)に死刑判決が下された。100日にわたった木嶋佳苗被告(37才)の公判全36回をほぼすべて傍聴し、死刑判決の瞬間を見届けたコラムニストの北原みのりさんは、法廷に似つかわしくない木嶋被告のファッションに注目する。
北原さんの法廷メモにはこう書き残されている。
1月11日、第2回公判<大きく胸の開いた淡いピンクのツインニット姿>
1月13日、第3回公判<大きく胸の開いた鮮やかなエメラルドグリーンのカットソー、黒いカーディガン>
木嶋被告には、年老いた母のほかに妹ふたり、弟がひとりおり、法廷で着用していた衣服は、それらきょうだいから差し入れられたとされている。多くは木嶋被告がもともと持っていた私物と思われるが、法廷という場では、その異質さが際立っていた。
「裁判前、佳苗はブスでデブということばかりが強調されていたのですが、実際は肌がものすごくきれいで、白い。しかも胸の谷間を強調する服を着ている。通常、被告人の服装はもっと地味です。“なんなの、この人!”と思いました。殺人を争う裁判なのに、どこか緊張感が欠けた法廷でした」(北原さん)
裁判を見続けるうち、北原さんは木嶋被告が一度として同じ組み合わせの服装をしていないことに気づいた。しかも出廷する証人、自らが証言台に立ち注目を浴びる日、その時々によって雰囲気も変えている。
1月16日、第4回公判には木嶋被告が逮捕されるまで約8年間定期的にデートを重ね、“本命”のカレといわれたS氏(47才)が証人として出廷した。するとこれまででいちばんシックでおしゃれなスタイルに。
「ドレープの豊かなグレーの薄いカーディガン、胸元にプチレースが映える白のカットソー。シックですが胸の“谷間見せ”は相変わらず。それまででいちばんきれいに見えました」(北原さん)
そして、東京で起こった殺人事件の審理が佳境を迎えた1月27日、第11回公判。これまで前髪を分けていた木嶋被告が、前髪を眉の上でカットした“ヘアチェンジ”を披露。ボトムスも、パンツから膝上5cmのミニスカートにチェンジした。
「法廷がざわめきました。スカートの下は、薄いベージュの網タイツ姿だったこともあります」(北原さん)
通常、被告人は逃走しづらいようにスリッパを履くが、2月7日、第17回公判では、木嶋被告はヒール約5cmのミュールを履いて入廷。
2月17日、第23回公判での彼女の姿に北原さんは驚きを隠せなかった。
「初めて自分が証言台に立つ日で、まさに“主役”なことを意識してたんだと思います。初めて見る黒のシックなワンピースに白いカーディガン。清楚な雰囲気でつま先をピンッと伸ばしてました。この日着ようと取っておいたんだと思いました」
一方で、2月27日、第28回公判から検察側による被告人尋問が始まると、質問に答えるのが嫌なのか、急激に手を抜き始めた。
「紺のジャケット、グレーのパンツに黒いスリッパと装いが一気に地味になりました。わかりやすく、“やる気”がなくなるんです」(北原さん)
※女性セブン2012年5月10・17日号