中国・北京市の中心部にある天安門広場沿いにあり、全国人民代表大会(全人代)など国家級の行事が開催される人民大会堂では「服務員」と呼ばれる職員の採用試験が行なわれている。中国の最高指導者や世界各国のVIPの接遇をしなければならず、「粗相があっては中国の恥」だけに、その試験は超難関といわれている。
人民大会堂は中央部に1万人が集まれる大会堂があるほか、33室の会議場が設置され、それぞれに中国の省・直轄市などの名前がつけられている。総面積は約17万平方メートルで、東京ドーム3.6個分だ。
これらの会議場では毎日、世界各国から訪中した政治や経済指導者らが中国共産党・政府指導者と会見しており、午餐会や晩餐会もひっきりなしに開催されている。
そのような重要な場で、外国の指導者を会見場に案内したり、お茶や食事の接遇をするのが服務員の仕事だ。世界中のVIPだけを相手にするため、一流ホテルの従業員やキャビンアテンダントよりもハードな仕事を務めなければならない。
服務員の応募規定はかなり厳しく、身長が男性177センチ以上、女性は167センチ以上で、男女とも当然、容姿端麗でなければならない。年齢は17~21歳までと若く、視力は裸眼で0.7以上となっている。大会堂は広いので、目が良くなければならないのかも…。もちろん、眼鏡は論外だ。
さらに、中国は共産党一党独裁体制の国であり、共産党思想に忠実な思想堅固であることが求められるほか、肉親や親戚にも犯罪歴がないことが必須の条件だ。
その割には月給は3000元(約3万9000円)程度だが、その分、国家公務員だけに、ボーナスや住宅、福利厚生などの諸々の補助が多く、それらを勘案すれば、一般の中小企業の社長クラスの収入にとなる人もいるという。
中国では現在、各省・直轄市レベルで採用試験が行なわれており、1省ごとに10~20人程度が採用される予定。