5月22日にオープンする東京スカイツリー。「あんなに高くて、大地震や台風で倒れたり、傾いたりしないの?」――スカイツリーを見上げて、そんな素朴な疑問が沸く人もいるだろう。
実際、昨年3月11日の東日本大震災では、東京タワーが左右に大きく揺れ、頂上のアンテナが南東方向に5度曲がった。しかし、東京タワーの2倍近い高さがあるスカイツリーのアンテナは、東日本大震災でも、無傷のままだった。
その違いは何か? スカイツリーの最上部、アンテナ部分には地震や風の揺れをやわらげるため、最新鋭の「振動制御装置」が2基組み込まれている。
「振動制御装置」とは、約40トンのおもりを、ばねなどを介してタワーに取り付けたもの。地震や風で揺れたとき、おもりがスカイツリー本体とは逆向きの揺れ方をして、振動を相殺する。
この装置で欠かせない役割を果たしているのが、大阪市に本社がある「東海バネ工業」がつくった特大ばねだった。同社社長の渡辺良樹さん (66才)がいう。
「スカイツリーの高さは634mで、その620mぐらいのところに振動制御装置があり、私たちのつくったばねが12本はいってます」
ばねといっても、その大きさは、スカイツリーだけに桁違いだ。
「約8cmの太さの鋼材をコイル状にして、長さ120cmのばねにしています。重さはばね1本で1トン。いままでにやったことないくらいの大きさでした。でも、日本中のありとあらゆる難しいばねを、うちがつくっているわけですから。今回、室戸台風(1934年)並みの60m級の強風にも耐えられるようなばねを、という注文が来たときには、正直燃えましたね」
※女性セブン2012年5月10・17日号