新しいワーキングスタイルとして注目を集める「ノマド」。しかし響きの格好良さとは裏腹に、マナーには問題があるようだ。作家で人材コンサルタントの常見陽平氏が、自らの体験を踏まえて「ノマド」を斬る。
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時代は、ノマドワーカーです。『情熱大陸』でノマドワーカーのオピニオンリーダー安藤美冬氏が取り上げられたこともあり、注目度がますます上がっていますね。
そもそもノマドワーカーとは何でしょう? ノマドとは遊牧民という意味で、組織や場所や時間にとらわれず働いている人のことを指しているようなのですが、まあレベルは色々ですね。本田直之氏のように、ほぼハワイを始め海外で生活しつつ働いているレベルから、カフェで仕事をするフリーランス、さらには外出先で仕事をすることが多いサラリーマンまでそう括られているように感じます。
そのノマドワーカーですが……。皆さん、「こいつらマナー悪いなぁ……」って思ったことありません? カフェでたまって大声で打ち合わせしていたり、携帯やスカイプを使って大声で話していたり、MacBook Airのキーボードを叩く音がデカすぎでうるさかったり、コーヒー1杯で半日粘っていたり……。しかも、「俺は働いているゾ」というオーラを醸しだしていて、これまた落ち着かないものです。
私自身、先日、トラブルに巻き込まれました……。渋谷の宇田川町の大手チェーン系カフェで、カウンターの席に座っていたら、隣に、スカイプで大声で会話している男性がいたのです。あまりに気になるので、注意したら邪魔するなとばかりに無視され、言うことを聞いてくれなかったので店長を呼んだところ、「店には電話に関するルールはない」と言われ、私の方が席を移動するように言われました。
いや、電話に関するルールがあるかどうかが問題じゃなくて、相手が迷惑だと感じるかどうかがポイントでしょう。だいたい、迷惑をかけられて、なんで私が移動しないといけないのですか?
そんなことを抗議したら、ノマドワーカーは「これは電話ではなく、スカイプだ」「私はイギリスと仕事のやりとりをしている」「普通の会話と比べて音量は変わらないはず」「私もアナタに文句を言われて不愉快だ」などと言い出す始末。さらに店長は「どちらも悪くない」なんて言い出しました。途中からノマドワーカーは私を無視し、仕事を再開。なんなんでしょう、これ。
納得がいかないので、大手チェーンカフェの広報部に電話をして問い合わせをしました。お客様サービス担当の方が説明してくれたのですが、電話に関するルールはお店に任せているとのこと。こりゃ、ノマドワーカーはスカイプも電話もやり放題の渋谷宇田川町店に行くしかないですな。ただ、店長が私の方に移動するよう促したことについては、間違った対応だったということで謝罪して頂きました。やれやれ。
ノマドワーカー批判論者だと思われている私ですが、実はそうでもないです。私自身、今は組織に所属しておらず、フリーランスでいつも日本のどこかで、いろんな人と仕事していますから。ただ、こういう迷惑な方がいると、ノマドワーカーってますます揶揄されていくでしょうね。「単にこいつの問題では?」という声もあるでしょうけど、いや、ここまでではないものの、よくスタバなんかで見かけますよ、何様だという感じのノマドワーカーを。
昔、ファミコンの高橋名人は「ファミコンは1日1時間にしよう」とみんなに呼びかけました。ノマドワーカーのカリスマ、安藤美冬氏には「カフェで大声でスカイプするのはやめよう」「カフェで粘るのは2時間まで」などマナーを啓蒙してもらいたいところです。