GWで各地に旅行に行かれる方も多いだろう。ちょっと頭を悩ませるのが、お土産だ。ありきたりなものでなく、日持ちのするもので、お値段も手頃で……そんな方に、食事情に詳しいライター・編集者の松浦達也氏がお勧めする。「GW最強のお土産は、袋ラーメンだ!」。
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連休などの帰省や旅行につきもののお土産。だが、お土産はとても厄介だ。とりわけ部下相手には誰かを特別扱いするわけにはいかない。たくさん買える安物だと、反応が薄くてつまらないが、高額なものは大量に買えるわけもない……。お土産を買うという行為には、そんなジレンマがつきまとう。
先日、北海道出張があった。北海道土産というと、少し前までは六花亭か、ROYCE(ロイズ)のチョコレート、もしくは石屋製菓の『白い』シリーズと相場が決まっていた。最近ではジャガイモを使った『じゃがポックル』やトウモロコシの『とうもりこ』など道産食材を使った、地域限定スナックも人気だが、何か他にないものか……。
その空港の出発ロビーには、ANA系とJAL系がひとつずつ、それに地元系のショップ3店の計5店舗が店を構えていた。各店をぶらぶらと物色していて、気がついた。どの店にも北海道が誇る、国内最高峰の製麺メーカー、藤原製麺の袋麺『北海道熊出没注意ラーメン』が置いてあるのだ!
僕はこのメーカーの袋麺よりも旨いインスタント麺を作るメーカーを知らない。藤原製麺は、僕にとって「世界一の袋麺メーカー」だ。麺の食感はそこいらの生麺などものともしない。ツルツルでシコシコで、ザクッとした歯ざわりが超官能的。そこいらのラーメン店なんて軽くブッ飛ばしてしまうのだ!
藤原製麺の袋麺なら、単身者にも家族持ちの役にも立ち、『熊出没~』なら、お土産としてのご当地感や「くすぐり」も満点。しかも日保ちもする。万が一配りきれなくても、旨いのだから自分で食べればいい。全店見てみると、まだ味わったことのないラインナップも各店に散っている。今回は調査を兼ねて、他のメーカーのものも含め、単品売りの袋麺(乾燥)をすべて買うことにした。そして各店を回って痛感した「お土産の鉄則」は次の通りだ。
・搭乗ロビーで買うべし
保安検査場を通った後のANA系、JAL系のショップも見たが、搭乗ロビーのショップの方が競合が多いせいもあってか品揃えがいい。土産はゲート通過前に調えるべし!
・奥を見るべし
特にANA系、JAL系のショップでは入口近くのいいスペースには、必ず定番土産がドカンと陣取っている。気のきいたものを探したければ、奥に分け入るべし!
・ローカル系、侮るべからず
今回5店舗に置いてあった袋麺(一人前)の種類は14種類。1店にしか置いていない袋麺も多く、コンプリートするには、最低4店での買い物が必要となった。とりわけ、藤原製麺の『「かに」三昧』の扱いはローカル系でも一軒のみと、非常にありがたい存在だった。ただしローカル系だと奥の方にディープ過ぎる商品が置いてあることも。大手と商品配置のクセが違うのは気をつけたい。
ことラーメンに限定すれば、他にも「4食パッケージは避けるべし」、「生麺買うのは愚の骨頂」などいろいろあるが、北海道に限らずとも、全国的にこの法則は通用する。棒ラーメンのマルタイラーメン(福岡空港)、マルタケの沖縄そば(那覇空港)などもクオリティは折り紙つきだ。
つまるところ、旅行や帰省の土産とは、土産話のための装置だ。そして土産話とは、それ自体がプレゼンテーションであり、持ち帰った土産を楽しんでもらうためのオリエンテーションという心づくしでもある。
ちなみに今回、購入した袋麺は全部で29個、うち藤原製麺製のものは何と17個にのぼった。しかも延べ数だけではない。ラインナップでも14種類中8種類と、空港で売っていた単品売り袋麺の6割近くを占めていたことを、本稿の最後にご報告させていただく。そしてなるべくなら、この袋麺を土産として渡す知人が、この稿を見ないことを祈っている。