彼女の名は、一青妙(41)。印象的な苗字だからもうおわかりだろう。歌手・一青窈(35)の6才上の実姉である。妙は女優と歯科医師というふたつの顔をもちながら、『私の箱子』(講談社)で作家デビューを果たした。
父は台湾人、母は日本人。父は台湾五大財閥のひとつである顔(がん)家の長男。幼少期を台湾で過ごし、11才から日本で暮らす。中学時代に父を、大学時代に母を病気で亡くす。日本語はもちろん、中国語と英語も堪能。歯科大学を卒業後、歯科医師として働く一方、女優業を続けている。
「国籍うんぬんというより、両親の個性でしょうねえ。石橋を叩かずに無茶しちゃうのが母の遺伝子。そして一度そう思ったら相談する前に決めている頑固な部分は父の遺伝子。中学から部活は掛け持ちしてましたし、海外を放浪もして、砂漠でラクダに乗って後ろのガイドさんに胸をわしづかみにされるなど、危ない目にも何度も遭いました(笑い)。女優を目指したのも25才を超えてからですし」
台湾からの義援金は約200億円という世界最大規模だった。被災地の人たちだけでなく、全国民が台湾の友情に感動した。
「台湾の人たちは本当に日本が好き。いまも、自分たちのことのように震災後の日本を気にしています。台湾人の血が流れていて少し誇らしく、よかったなと思いました」
妙は小学生のころは、自分を台湾人であると考え、中学生になると日本人として生きた。2つの祖国を愛し、2つの国のために生きていこうと考える。
「台湾では、日本と違ってうつ病が社会的な現象として問題視されていないんです。なぜだろうと思ったら、みんななんでも思ったことを口に出している。それはもう、思った瞬間にバンバンと。年齢かまわず、話して発散。“溜め込まない”が台湾式なんですよ。陽気で人懐っこいのが台湾人。もし次に何か書くとしたら、そんな台湾の魅力をまとめた旅行エッセイを手掛けたいですね」
※女性セブン2012年5月10・17日号