年金官僚たちはわざと制度を複雑怪奇に設計することで、国民が制度のメリットを享受しにくくし、もらい忘れを誘発して、集めた保険料を掠め取ろうとする。だが、その手には乗らない。年金リッチを目指すあなたにピンポイント・アドバイス。
たとえば年下の妻がいる場合、「加給年金」の申請を忘れないようにしたい。
加給年金は現役時代の扶養手当のようなもので、サラリーマンだった夫が65歳になった時、65歳未満の妻や高校生以下の子供がいれば、妻と子供がそれぞれ65歳と高校卒業まで、1人につき年間22万6300円が夫の年金に上乗せされる制度だ。妻の分の加給年金には、特別加算額(1943年4月2日以降生まれなら年間16万6900円)が加わるので、夫は年間約40万円を受け取ることになる。
妻が年下であればあるほど、長い期間受け取れる。10歳年下の妻がいれば、夫が65歳以降に受け取る加給年金の総額は10年で400万円にもなる。
ただし、年金事務所で申請しなければ加給年金はもらえないため、手続きを忘れると大損する。
こんな注意点もある。
「加給年金の受給条件は、夫の厚生年金加入歴が20年以上、妻の加入歴が20年未満であることです。妻の加入歴が19年と20年の場合を比較すると、65歳以降の年金額は20年の方が年間約2万円高い程度ですから、年の差が大きい夫婦の妻は加入歴を20年未満に抑えた方が有利です」(社会保険労務士・北村庄吾氏)
なお、年下の妻が65歳になれば、夫の年金に上乗せされていた加給年金は「振替加算」と呼び名を変え、今度は妻の年金に加算して支給される。
※週刊ポスト2012年5月4・11日号