年金官僚たちはわざと制度を複雑怪奇に設計することで、国民が制度のメリットを享受しにくくし、もらい忘れを誘発して、集めた保険料を掠め取ろうとする。だが、その手には乗らない。制度を知り尽くす「年金博士」こと社会保険労務士の北村庄吾氏が、年金リッチを目指す夫婦にピンポイント・アドバイス。
たとえば、40代以下夫婦の場合、少ない収入でも妻の厚生年金加入期間を延ばすことが可能だという。
「40代以下は受給開始まで長い時間が残されています。もし子育てが一段落した無職の妻がいるならば、少ない収入でも厚生年金に長く加入することで年金額は大幅にアップします」(北村氏)
例えば、会社勤めの経験のない現在40歳の女性が国民年金に第1号と第3号で合計40年間加入したとすると、年金額は基礎年金部分(国民年金)だけの月額6万5541円になる。もし月収10万円で1年間働くとすると厚生年金部分が積み増されるので月額6万6091円になるが、増額分は550円にすぎない。
一方、同じ月収10万円でも60歳になるまで20年間働けば7万6499円になり、月額1万958円も増えることになる。
平均余命の89歳まで生きた時の受給総額は1年勤務なら1903万4400円だが、20年勤務なら2203万2000円と約300万円もアップする。もちろん収入が多ければそれだけ増額分も大きくなる。
※週刊ポスト2012年5月4・11日号