コンカツ詐欺で三人の男性を殺害したとして、一審で死刑判決が出た木嶋佳苗被告(37歳)。「毒婦。」(朝日新聞出版)の著者で、女性用アダルトグッズショップ「ラブピースクラブ」代表の北原みのりさんが語る「私と佳苗」の最終回をお届けする。(聞き手=ノンフィクション・ライター神田憲行)
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−−一審の死刑判決はどう思われますか。
北原:逮捕のきっかけとなった3人目の被害者の大出嘉之さん(当時41歳)の件は認定されるだろうとは思っていましたが、3人とも殺人が認定されたのは意外でした。とくに最初の寺田隆夫さん(同53歳)はなにも証拠がないんですから。
−−裁判員の雰囲気は?
北原:ほとんど質問しなかったのが意外でした。素人だからこそ質問できることもあると思うんですが……。検察が作ったストーリーが疑問もなく受け取られている印象があったし、50代の男性が嫌悪感むき出しで佳苗をずっと見ていたのも印象的でした。
−−でも佳苗被告はすぐ控訴しました。
北原:死刑判決が出て拘置所に戻ったあと、すぐ自分ひとりで手続きしたそうです。弁護士にも相談せずするのはかなり異例のことらしい。弁護団は5人いたんですが、本人尋問で「(セックスのとき)男性はなんといいましたか」「はい、気持ちいい、と言いました」とか、なんのための質問か私にはわからない(笑)。
−−控訴審でも、裁判を傍聴されるんですか。
北原:行くつもりはないです。私は、これ以上、佳苗を追いかけても何も出てこないと思っています。でも、佳苗被告が判決のあと朝日新聞で公表した「手記」を読んで、佳苗被告から私に凄い感情を向けられている気がしました。ああ、私は佳苗被告に関わっちゃったんだな、という思いはある。今は、少し距離をおきたい。そのくらい、100日間、深く関わった感じです。
彼女は興味深いキャラクターで、時代が時代なら彼女は教祖になっていたかもしれない。和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚と似ている、という人は少なくないのですが、私には饒舌な麻原彰晃に見えます。
でも嫌な予感がするんです。彼女がなにかの恩赦で自由の身になって、「こんにちは、北原さん」とかいって私の店に来るような(笑)。来てもいいけど、練炭は置いていかないでね(笑)。