夏場になって困るのが体臭。通勤電車の中などは一過性だが、会社の「とっても臭いあの人」は何とかならないものなのか。他人のニオイの注意方法などまで記述が及んだ「加齢臭読本」著者でネット文筆家の奈良巧氏がその注意法を明らかにする。
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加齢臭やワキガなどのニオイを注意する。これはなかなかできることではない。筆者の知人にこれを成功させた人がいる。
仕事場で、誰もがすれ違うときに顔をしかめる、その人のニオイの源は制服だった。洗濯をせずに、ロッカーに入れて帰宅。次の日にまた着る。この繰り返しがとんでもない事態をまねいていたのだ。「本人に直接注意する」「上司に相談して注意してもらう」知人の取った行動はこのどちらでもなかった。
「全員の集まる朝礼のときに『全員で考えたいことがあるので、聞いてもらいたいんです』と手を挙げました」
大手の企業に勤める知人は、そこで話をした。
「制服のクサイ人が私たちの中に居ます。就業後ロッカーに入れて帰宅を続け、洗濯せずにいると、人によってはニオイが出てしまいます。自分も気をつけて、ニオイの出る前に洗濯に出すようにしますので、お互いに気をつけましょう」
短いスピーチだが、拍手が起きたという。これを聞き、職場のみんなが「オレって臭いかなあ」「大丈夫かなあ」と制服をクンクンした。
「肝心の人も、この後で洗濯の習慣ができたようで、ニオイの問題は無くなりました」と知人は晴れやかに語った。ポイントは個人にメッセージを送るのではなく、職場全体で共有したということだ。
ワキガや加齢臭などのニオイがきつい人は、嗅覚が他人より弱い場合も考えられる。こうなると、ニオイの問題は自分で気が付くことができなくなる。他人の注意・忠告がとても重要になるわけだ。