人口約12万人の大阪市西成区は、仕事を求めて全国からやってきた日雇い労働者が数多く暮らす。それに加え、高齢者の単身世帯をはじめとした生活保護受給者が多いことも特徴だ。
大阪市自体、18人に1人が受給者であり、全国平均(66人に1人)に比べて多いのだが、その中でも西成区は突出している。受給者は2万8000人(3月末)。実に「4人に1人」だ。
そんな「生活保護天国」となっている西成区に、変化が起き始めている。最近、生活保護の申請や相談に区役所を訪ねる人々の間では、「ナマポ(生活保護)が打ち切られるのでないか」という噂が広がっているのだ。
区役所の相談窓口に来ていた男性はこう話す。
「橋下(徹・大阪市長)さんは『給付条件を厳しくする』というてはる。もらえなくなったら生きていけない……」
噂が広がったのには理由があった。
橋下市長は4月から、警察官OBや元ケースワーカーらによる「不正受給調査専任チーム」を市内24区すべてに配置した。いわば「生活保護Gメン」である。
府警OBと元ケースワーカー、区福祉職員の3人で1チームを構成しており、市全体では26チーム78人。特に受給者の多い西成区と浪速区では、他区に先駆けて昨年11月にチームが発足しており、西成区では2チーム6人が“捜査”に当たっている。
※週刊ポスト2012年5月18日号