自意識を歪ませてしまったばかり、恋愛したくてもうまくできない女性を“こじらせ女子”というそう。近年、“恋愛しない若者”が増えているが、恋をしない事情はさまざまのようだ。“こじらせ女子”を命名した『女子をこじらせて』(ポット出版)の著者でAVライターの雨宮まみさん(35才)に、現代の若者の恋愛事情や婚活ブームについて聞いた。
――“恋愛しない若者”についてどう思いますか?
雨宮さん:確かに恋愛って面倒くさいし、深く傷つくこともあるわけで、社会人には失恋休暇があるわけじゃないからすごく困りますよね。恋愛に全く興味がない人が、無理に世間に合わせて恋愛することもないと思いますけど、恋愛に限らず「本当はしたいのにしてない」というのはマズイと思います。いまはみんなが損することに対して敏感になりすぎていて、時間とか手間とか気持ちのコストを考えて、無駄な恋愛をしないで早く結婚したいという傾向がありますよね。女性の場合、出産のリミットもありますし。
でも、恋愛って人間関係の訓練でもあるので、して全く無駄ってことはないですよね。会社に置き換えても、働いてみてその会社が合わないと3年ですぐ転職したからといって、その3年が無駄だったとは思わないように、終わった恋愛が無駄なわけじゃない。大人の知恵が身に付くような経験って色々あって、恋愛もそのひとつだと思います。
――一方で、さまざまな形で流行っている婚活については?
雨宮さん:私自身は、気の合わない相手が家にいるぐらいならひとりのほうがいいと思ってしまうので、結婚が目的の婚活はちょっとピンとこないですね。それに、いまの結婚の形を考えると、そういう婚活の場に出てくる男性って、料理もできて家事もやってくれる“いい奥さん”を求めているイメージがあって、それを求められると仕事をしている女性からすると、結婚は非常にデメリットが大きいと思ってしまいますね。
――婚活を繰り返しても結婚できない女性は“こじらせ”が原因だと思いますか?
雨宮さん:昔だったら「結婚できない女は、相手の理想が高いから片づかない」というひと言で済んでましたけど、いまはそうじゃない人も多い。条件のいい相手を望んでいなくても、いきなり見合いや割りきった婚活に向かえず、やはり恋愛結婚したいと思う人は多い。でも、恋愛で結婚しようとすると効率は悪いですよね。恋愛結婚をしたいのにできない、と悩んでいる人のことを「高望み」と切り捨てるのは、私はちょっと躊躇する部分があります。
――では、こじらせ女子はどうやって婚活したらいい?
雨宮さん:恋愛や結婚をしたいといっててもできないのは、それ以外にもいろんな煩悩がありすぎるということもあると思います。恋愛したい、だけど家でひとりでいる時間も好き!とか、習い事もしたいし、女子会もしたいしみたいな(笑い)。ひとつのこと集中して取り組めないと、成果を得るのは難しいですよね。婚活と決めたらすべての能力をそこに注ぎ込むぐらいの気持ちでやるしかないんじゃないでしょうか。
――こじらせを克服するのはなかなか難しいのでしょうか?
雨宮さん:こじらせって、自分の心の中にある罠というか、そこに引っ掛ったらずっとグルグル同じところをまわっちゃうような罠に自分で引っかかっている状態だと思うんです。断ち切らなきゃいけないと思っていても、自分のことを否定しているほうが居心地がいいという気持ちもある。調子に乗って天狗になるよりは、謙虚な姿勢でいるほうがいいと思っているから、そのことでどんどん自己評価が低くなっていってしまうんです。そういう“こじらせスパイラル”に陥っている女性も多いんじゃないでしょうか。