「あの人はクサイ」「鈍感にもほどがある」こういわれるワキガや加齢臭の人。「ちょっと待て、クサイ人は嗅覚が弱い場合も」と分析するのは『加齢臭読本』著者で、ネット文筆家の奈良巧氏だ。
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人間は、常に嗅いでいるニオイに気が付かないことが多い。これは身近なニオイを脳が打ち消してしまうからだ。例えば自宅のニオイは気にならないが、他人の家に入ったときのニオイには敏感になることでもわかる。
加齢臭やワキガ、口臭など自分の体が発しているニオイについても、同じことが言える。とはいえ周囲5メートルに突き刺さるような悪臭をふりまいている人がいるのはなぜだろう。これにまったく気が付かないのは「脳のはたらき」だけでは無い。
ここで、注目したいのはニオイを嗅ぐ能力だ。
「自分の悪臭に気づかないほどニオイが鈍感になる? そんなことがあるわけない」。こう言う人も多いだろうが、ちょっと待って欲しい。筆者は花粉症の時期など、鼻がつまるとニオイが判らなくなる。
具体的に言うと目をつぶって「リンゴジュース」と「オレンジジュース」を飲み比べて、差がわからなくなるのだ。
この「ジューステスト」はニオイの感受性を試すにはちょうどいい。目をつぶって鼻をつまんで飲み比べれば、ほとんどの人は違いがわからない。
鼻をつままないで飲んでも差が判らない人は、嗅覚が弱っていると思って間違いないだろう。そういう人に自分のニオイに気づけ、というのは無理というわけだ。