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子供の成績に悩む親に「子供の成績は中くらいで満足すべし」

『東京新聞』の前身、『都新聞』で連載「相談の相談」が始まったのは明治39(1906)年12月21日のこと。これが新聞における人生相談の始まりだった。悩みは時代とともに、時代は悩みとともに──伝説の回答傑作選。以下、「子供の成績がよくない」と悩む親からの相談だ。

 * * *
【相談】
 次男こと昨春入学させましたが、どうも成績がよくないのです。 第二学期の成績などは修身中、読み方中、書き方中、綴り方下、図画中、手工中、算術下、操行(生活態度のこと)上で、上なのはただ操行ばかりで近所の親に対しても面目ありませぬ。

 やがて第三学期の終わりも参りますが、何とかして今少しよき成績にしたいので、復習をぜひさせまた時々訓戒しておりますが、これくらいでよろしいでせうか。実は叱っても叱りばえのせぬぼんやりした子ですから心配でなりませぬ。

【回答】
 誰しも親として子の成績よかれかしと願う心は同じですが、記者は一年や二年の子供の成績はそんなに立派でなくともよいと信じているのです。かえって学力よりも体力に注意したほうが子供の将来のためにどんな幸いかも知れません。
 
 いかにもお子さんの成績はよいほうではありませんが、操行が上であるから性質のよいお子と見えます。算術や綴り方がよくないから自然他の学科にも関係しているのでせうから、先に申したように健康に注意し、それとなしに物事に気をつける習慣をおつけなさい。
 
 それから叱るということがありますが、これはよろしくありません。それにあまりがみがみ復習をさせることもよくない。ご成績表によれば平均中ぐらいになっておりますから当分それで満足なさい。
 
 むやみに責めて上を取ったことを隣人に自慢しようとなされるなどは間違いです。親として子を導く方法を誤っています。

※相談と回答は『明治時代の人生相談』山田邦紀著(幻冬舎文庫)より転載

※週刊ポスト2012年5月18日号

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