ライフ

人生相談 無意識にどんな問題抱えているか見抜かないとダメ

 1965年、ニッポン放送で「テレフォン人生相談」がスタート。実に50年の長きにわたり、“時代の鏡”として人々に支持され続けてきた。人生相談には人を惹きつけてやまない、それぞれのドラマがあるが、その内容は時代とともに変わってきたのか。1970年代初めから番組に参加してきた作家の加藤諦三氏に聞いた――。

 * * *
 30年前は女性の悩みといえば「嫁姑問題」だった。それが「子育て」になり、さらに職場の人間関係など「仕事がらみ」とたどってきたように、時代の変遷で相談内容も変わるのは事実です。

 また、「最近なんだかギャンブル依存症に関する相談が増えてきたな」と思っていたら、そのあと新聞でギャンブル依存症が増えているという記事を目にした、ということもありました。紙面で読むよりも早く、寄せられる相談から実感していたんです。多くの人生相談が集まるこの番組が、“世相を映す”ということはできるでしょう。

 ただ、悩みや苦しみというものは、表に現われる現象に転嫁されるもの。生活様式が変われば、心の苦しみを投影させる対象も変わるのは当然のことであり、悩みの本質自体は30年前から何も変わっていないと私は考えています。

 では本質とは何か。それは「人は無意識に支配されている」ということです。悩みを持っている人は大抵、無意識下に問題を抱えている。その人が「これに悩んでいます」というものは、だいたい本当の原因でないんですよ。無意識にどんな問題を抱えているかを見抜かない限り、解決には向かわないんです。

 そこを突きとめて相談者に認めさせないと、相談者は先に進めないんですが、時には私がそれを認めさせることができず、物別れに終わることもあります。

 例えば「息子の担任の教師が気に食わない」という相談があったとします。担任に対する敵意はすごい。しかし、よくよく聞いてみると、どうやら夫婦関係がうまくいっていないようだ。でも、相談者にとってそれは認めがたいこと。夫婦関係という生活の根幹、これまでの人生の大部分を占めることの否定につながりますからね。だから、その敵意を担任に向けてしまったのです。

 これは「攻撃性の置き換え」といいます。でも、相談者自身がそれをどうしても認めなければ、平行線。最後までかみ合わないこともありましたね。(談)

【プロフィール】
加藤諦三/作家。1938年生まれ。早稲田大学名誉教授。専門は心理学、精神衛生学、哲学。近著に『うつ病は重症でも2週間で治る、もし……』

※週刊ポスト2012年5月18日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

2021年に渡米以降、1度も帰国していない
《新生活》小室圭さんと「ゆったりすぎるコート姿」眞子さん、「住宅リフォーム」特化の大型ホームセンターで吟味していたもの
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
〈50まんでおけ?〉高野容疑者が女性ライバー“最上あい”さんに「尽くした理由」、最上さんが夜の街で吐露した「シンママの本音」と「複雑な過去」【高田馬場刺殺事件】
NEWSポストセブン
作家・曽野綾子さんが遺した金言を振り返る
【曽野綾子さんが遺した金言】“知の貧困”に陥らないように警告する箴言、きれいごとで済まそうとする安易な姿勢への厳しい批判…使命感と信念に生きた人の言葉
週刊ポスト
ご結婚のハードルが下がりつつある愛子さま(2024年10月、佐賀県。撮影/JMPA)
愛子さま“生涯皇族”としての将来に光明 皇族数確保に関する会議で政府関係者が「女性皇族の夫に御用地での同居と皇宮警察による警備を認める」の見解を示す
女性セブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さんが刺傷され亡くなった。送検される高野健一容疑者(左・時事通信フォト)(右が佐藤さん、Xより)
〈シンママとして経済的に困窮か〉女性ライバー “最上あい”さん(22)、高野容疑者(42)と出会った頃の「生活事情」 供述した“借金251万円”の裁判資料で判明した「2人の関係」【高田馬場・刺殺事件】
NEWSポストセブン
米津玄師の新曲MVに出演した羽生結弦(米津玄師の公式スタッフのXより)
羽生結弦、米津玄師との“奇跡のコラボ”で見せた4回転ルッツ 着地失敗で封印したジャンプが仙台で復活、より強くなる“災害に対して祈りと希望を届けたい”という気持ち
女性セブン
角田信朗が再婚していた
格闘家・角田信朗が再婚していた!「本当の意味でのパートナーに出会えた」「入籍はケジメです」お相手は23歳年下の“女将さん”
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・最上あいさんが刺傷され亡くなった(左・Xより)
〈オレも愛里なしじゃ生きていけない〉高田馬場刺殺事件・人気ライバー“最上あい”さん(22)と高野健一容疑者の“親密LINE”《裁判資料にあったスクリーンショット》
NEWSポストセブン
体調不良を理由に休養することになったダウンタウンの浜田雅功
《働きづめだった浜田雅功》限界だと見かねた周囲からの“強制”で休養決断か「松本人志が活動再開したときに、フル回転で働きたいからこそ」いましかないタイミング
女性セブン
いまだ精神鑑定が続く、瑠奈被告
《すすきの頭部切断事件》現場のホテルが格安で売りに出されていた 肝試し感覚で利用者増加、当該の部屋には「報道にあったお部屋です」の説明文
女性セブン
渡米した小室圭氏(右)と眞子さん(写真/共同通信社)
「さすがにゆったりすぎる…」眞子さんが小室圭さんとの買い物で着ていたロングコートは5万6000円の北欧の高級ブランド「通販で間違えて買った」可能性
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・最上あいさんが刺傷され亡くなった(左・Xより)
《生々しい裁判記録》「3万円返済後に連絡が取れなくなった」女性ライバー“最上あい”さん(22)と高野健一容疑者の出会いから金銭トラブルまでの全真相【高田馬場刺殺事件】
NEWSポストセブン