群馬県の関越自動車道で4月29日に発生した、7人が死亡し、39人が重軽傷を負った高速バスツアー事故。この事故で次々と明らかになったのは、バス会社「陸援隊」(本社・千葉)によるずさんなバスの運行体制だった。
自動車運転過失致死傷容疑で逮捕された運転手の河野化山容疑者(43才)は、元中国籍で、乗務前のホテルでの休憩時間に、中国人向けの別のツアーの手配などをして充分な睡眠をとっていなかった。また、運転手に対して法律では禁止されている、“日雇い”だったことも発覚。
現役バスの運転手に話を聞くと、この事故は、決して稀なケースではないという。東名道の神奈川・海老名サービスエリアにいたバス運転手たちは、その実情をこう語る。
「“疲れた”“眠い”なんて話はざらにありますよ。路肩の白線の上って、踏んで走るとガタガタと振動がするようにつくってるでしょ。あの振動でハッとしたり、気づいたら幅が寄って隣の車に当たりそうになっていたり、そういうのは当たり前。身内には“高速バスだけは乗るな”っていっています」(運転歴20年・50代男性)
「今回事故があったバスは、20年以上前の車体を使ってたんでしょ。バス会社はほとんどが零細。中古のポンコツバスを数台買って、運転手をその都度日雇いで集める会社も多いんですよ。運転手も給料が少ないからって、休日にそういう会社でアルバイトする人がいる。だから、休日明けのはずなのに疲れていたりする」(運転歴13年・40代男性)
※女性セブン2012年5月24日号