「大阪から日本を変える」と豪語し、次々と改革施策を打ち出す橋下徹・大阪市長。中でも「維新八策」に掲げられた教育改革をめぐって、教職員組合と激しいバトルを繰り広げてきた。 “ヤンキー先生”こと義家弘介・参議院議員は、橋下氏による教育行政改革は“脱日教組”に繋がると期待する。
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橋下氏は国政への進出を意識した政権公約「維新八策」で4番目に教育改革を掲げ、さまざまな改革案と並べて「教職員組合の適正化」を明記している。橋下氏は条例制定により、大阪における“組合適正化”の端緒を開いたが、国政でも同様に、法的な整備を通じて「やりたい放題」の日教組をさらに追い込むだろう。
日教組の過激な政治活動を止めさせるためには、少なくとも3つの法改正が必要だと考えている。橋下氏も法律の専門家だから、それは当然分かっていて、法改正を実行してくれると思う。日教組の政治活動がこれまで野放し状態だったのは、法律が甘いからだ。
まず、教育公務員特例法の改正である。同法18条は「公立学校の教育公務員の政治的行為の制限」を定めているが、罰則規定がない。そのため、この法律には大した意味がない。同法を改正し、国家公務員並みの罰則規定を設けるべきだ。
第2に、地方公務員法改正による“日教組マネー”の透明化だ。民主党・小林千代美議員(当時)への北教組の違法献金事件(2009年)が起こった背景には、組合内部でプールされている巨額資金の存在がある。これを原資とした違法行為を断ち切らせるため、日教組ら職員組合に収支報告を義務づけるのだ。
第3は、教育の政治的中立確保法の改正だ。同法には「特定の政党を支持させる等の教育の教唆及びせん動の禁止」が明文化され、罰則規定まで定められている。にもかかわらず、まったく使われていない。
同法5条(教育委員会等が告発しない限り、罪に問われない)により、骨抜きにされているからだ。これを、保護者や地域の告発に応じて教育委員会が調査するよう義務づけるなど、改正する。
教育委員会の体質改善も急務である。橋下氏は現行の教育委員会に信頼を置かない。かつては「差別を助長する」という理由で全国学力テストの市町村別正答率の公開を阻んだ大阪府教育委員会を「クソ教育委員会」と罵倒したこともある。「八策」でも「教育委員会制度廃止を含む抜本改革」を謳っているので、総理になっても教育委員会には厳しい態度で臨むだろう。
※SAPIO2012年5月9・16日号