“登紀子ばぁば”こと、料理研究家の鈴木登紀子さん(88才)。食事のマナーに詳しい登紀子ばぁばは、肉や魚などの主菜の「添え物」にもキチンとした決まりがあるという。母より学んだその作法を語る。
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母は、小松菜でもほうれん草などの葉ものは、1把ゆでたら、全部使いきらずにほんの2~3株残しておく、というようなことをよくしておりました。そうして翌日、焼き魚や金目鯛の煮つけに、その青ものを添えるのです。
さらに、油揚げと大根のみそ汁にぱっと放して青みを加えたり、切り干し大根の酢のものにも、残しておいた小松菜をすこぅし混ぜることで、青々とした甘酢漬けができます。次の食事を考えてちょっとずつ残して使い回す知恵、こうしたこともみな、私は母の手元を見て覚えたのです。
お肉やお魚など主菜に添える場合は、お皿の手前に添えるのは「前盛り」、脇なら「添え盛り」と呼びます。
青菜以外にも、たとえば焼き魚には、酢どり蓮根やうどの梅酢漬けは口直しとしてうってつけですし、おろし大根にあさつきのみじん切りを混ぜますと、彩りがよくなります。焼き魚の添えものは、前盛りにするのが決まりです。
煮魚には小松菜やねぎ、つまみ菜などを煮汁にちょっと浸してから添えると、添えたものもたいそうおいしくいただけます。
ただし、前盛りからお箸をつけてはいけませんよ。お口直しですから、主菜を差しおいて頬張ったりすることがありませんように…。
※女性セブン2012年5月31日号