石原慎太郎都知事が尖閣諸島の購入案を提唱して以来、尖閣諸島に対する注目度が高まっている。明治時代に福岡県出身の古賀辰四郎・善次親子が開拓した尖閣諸島は、今どうなっているのか? 作家の山藤章一郎氏がリポートする。
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後を継ぐ子も孫もいなかった善次の未亡人は、現在の所有者である大宮の住人に昭和53年、尖閣を譲った。かねてより親しく付き合い、売ってくれと何度も頼まれていた。譲渡価格は4600万円。
大宮の住人は那覇市に〈古賀協会〉を設立し、日本の領有を閣議決定した1月14日を記念日とする碑を、石垣市に樹てた。
「開拓に心血をそそいだ」
「父子二代の生涯をかけた開拓事業であった」
と碑文をきざんだ。日本政府はこの大宮の住人から年間2450万円で、島を貸借している。
現在の尖閣諸島――琉球大の報告がある。昭和53年、魚釣島に持ち込まれたオスとメス2頭のヤギが推定、数千頭に繁殖し、森林は破壊され、むき出しの土が崩れ落ち、糞尿で水質汚染が起き、海岸ぎわまでヤギの異臭がある、と。
※週刊ポスト2012年5月25日号