いま、シルバー世代を獲得せんと、デリヘル業界が様々なサービス合戦を繰り広げている。無店舗型ゆえ、一度も利用したことのない人にとってはサービス実態さえ把握しにくい。この「みえない性産業」で何が起こっているのか。
「うちは、介護士の資格を持つ女の子を意識的に採用するようにしています」――そう語るのは池袋の回春マッサージ「プレシャス」(60分1万2000円~)の店長である。
「利用客の大半を占める高齢者のお客様を安心して任せられます。彼女たちは日頃から高齢者と接していますから。例えば腰を自由に曲げられない方が寝起きする際に介助の手を差し出すことができる。また、オムツをつけて来店するような高齢者の方にも、驚かずに自然に接するわけです」
高齢者の客は自分から積極的なプレイをせずにメンタル面を満足させて射精に至る。あるいは射精できなくても性的満足感が得られるとして通う客も多い。
「お客さんは若い女性と“心のスキンシップ”を求めています。店の女の子にはお客さんの言葉にしっかり耳を傾けるように指導しています。奥さんが亡くなっていて、若い頃の奥さんを思い出すといって来店される常連客もいますね」
添い寝で満足していく客もいるという。彼らはそこに“射精”ではなく“温もり”を求めているのだ。事実、今回取材したヘルス嬢たちの間で、しばしばこんな言葉が聞こえてきた。
「中高年の方ってすごい礼儀正しいし、女の子に優しいんですよ。『君、キレイだね』とか『君みたいな子と出会えて嬉しい』とか。サービスしていると逆に、背中やお尻を、やさしい手つきで愛撫してくれるんですよね。そんなことされると、こっちも頑張っちゃいます(笑い)」
※週刊ポスト2012年5月25日号