アウトレットのルーツは型落ち品や売れ残り品、B級品などを格安の値段で売ったことにある。だからまず最初に安い、というイメージが浸透しているが、実態は微妙に異なっている。
大型商業施設の開発を専門とするダイナミックマーケティング社が2008年に行なった調査によると、アウトレット販売品の70%を、正規品から2~3割引きの商品が占めた。5割引きが20%、7割引きは10%だった。
アウトレットが一般化するのに伴って、ショップには売れ残り品だけでなく、「アウトレット販売専用商品」も増えている。
「衣料品の原価は定価の2割くらいです。少し割引して売っても十分利益は出ます。また、最近は最初からアウトレットで売ることを見越して原価を抑えて企画されている商品もある。わざわざ遠くのアウトレットに交通費と時間をかけて出掛けていって買い物をすることが本当におトクなのかは正直微妙な部分もあります」(アパレル販売員)
逆に商品によっては定価で売られていることもある。どこに価値を見出すのか、出掛ける前に家族でよく議論しておくべき問題かもしれない。
ただ、アウトレットの吸引力は強力だ。特にセールとなれば尚更。
少し前なら春夏ものを8月、秋冬ものは1月が定番だったが、一般のショップが早めに開く傾向が強まった。結果、アウトレットではさらにそのひと月前、6月と11月に始まる例が多くなっている。さらに3月にセールを打つこともある。こうなってくると何がなんだかよくわからなくなるが、はっきりしているのは、
「どんな場合も赤字で売ることはない」(前出の販売員)
ということである。 2009年に日経産業地域研究所が行なった調査によると、アウトレット1回の訪問での世帯平均購入額は2万9000円。最も多かったのは50代世帯で4万7000円だった。
一方で着目すべきは、年に2回以上行く人の3分の1を世帯年収700万円以上の人が占めていること。つまり、リッチ層こそアウトレットを使っている傾向が顕著なのだ。
※週刊ポスト2012年5月25日号