塩麹の大ブレイクを機に、そのおいしさと健康・美容効果が見直されている発酵食品。そのパワーの源である5大菌について、著書に『100歳まで病気知らずでいたければ「発酵食」を食べなさい』(河出書房新社刊)などがある順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授の白澤卓二さんは次のように話す。
「“発酵”は、食材のうまみを増したり、栄養の吸収を高めたりします。もともとの食材にはなかった栄養素が新たに生み出されるのも大きな魅力。免疫力を高める、代謝率を上げる、美肌や美髪効果が期待できるといった働きもあります」
そのカギを握っているのは微生物。なかでも代表的なのが麹菌、乳酸菌、納豆菌、酵母菌、酢酸菌の5つだ。
「加熱して菌が死滅しても、栄養や発酵によって生まれた成分は残っています。大事なのは、毎日続けること。特に朝食に摂るのがおすすめです」
以下に5大菌の例を挙げる。
【麹菌】…かつお節
和食に欠かせないかつお節も発酵食。麹菌の一種であるかつお節菌でカビ付けして作られるのだ。最近の研究によれば、かつお節に含まれるアミノ酸の一種・ヒスチジンには、満腹感を高める働きがあるとか。うまみ成分のイノシン酸には新陳代謝を促す働きも。
【乳酸菌】…キムチ
日本では浅漬けの野菜をキムチ風味に味付けしたタイプも作られているが、本来は唐辛子や塩などを合わせた調味料に漬け込んでじっくり乳酸発酵させたもの。本場韓国では、キムチの仕込みは一大イベント。「キムチ前線が南下」といったニュースも流れる。
【納豆菌】…納豆
通常、納豆といえば糸引き納豆をさす。しっかりとかき混ぜれば、ネバネバパワーを存分に発揮。ねぎなどの薬味を加えるのも理にかなっており、ねぎの硫化アリルがナットウキナーゼの働きを高めてくれるのだ。
【酵母菌】…ビール
食欲を増進させたり、血液の巡りをよくしたり、ほどよい酔いは心身の疲れも取ってくれる。「液体のパン」ともいわれるほど、ビタミンやミネラルも豊富。日本に渡来した当初、ビールは薬屋さんで売られていたのだとか。
【酢酸菌】…バルサミコ酢
ぶどうの濃縮果汁を木樽に入れて長期熟成させて作った、イタリアの伝統的なお酢。まろやかな酸味と甘みがあり、香り豊か。ソースやドレッシングのほか、バニラアイスなどにかけてもよく合う。
※女性セブン2012年5月31日号