阪神・城島健司(35)がかつてない危機に瀕している。5月11日に座骨神経痛のために登録抹消。その後、手術を受けることも発表され、前半戦の出場は絶望的となった。弱り目に祟り目か、そんな城島に悲しいニュースが飛び込んできた。出身地の長崎・佐世保にある「城島健司ベースボール記念館」(2001年開館)が、5月末をもって閉館するというのだ。
佐世保駅から松浦鉄道で30分。最寄り駅から10分ほど歩くと、住宅街の中に、マリナーズ時代の城島の大きなパネルが出現する。土曜日の昼下がりだったが、駐車場には関係者の車が停まっているだけだった。
入場料400円を支払って中に入ると、1階には少年野球など生い立ちを中心とした写真展示、2階には当時のトロフィや賞状などが並んでいる。しかしなぜか、一番場所を取っていたのは本人から贈られたというイチローのバットとユニフォーム。R・クレメンスやA・ロッドのサインボールもあった。
展示そのものが少ないうえに、全体を見て回るのに20分とかからない。見どころは、WBCとアテネ五輪のメダルや、試合で実際に使った阪神のユニフォームやプロテクターなどで記念撮影ができる「JOH体験コーナー」だが、記者が滞在していた2時間に訪れたのは、カップル1組だけだった。オリジナルグッズも、Tシャツや「城島」と書かれたラベルの酒が売っているくらいで、ちょっと寂しい。近所の男性はこう語る。
「最近じゃほとんど客はいないよ。平日はゼロの日も多い。お父さんが発案して、妹さんが店番する家族経営だから、大赤字ってことはないと思うけど…。皆ホークスの城島、九州の城島として応援していたからね。メジャーならまだしも、阪神に行った時点で人気がガタ落ちさ。もう地元での激励会もやらなくなったからね」
館長を務める城島の父が留守だったため、代わりに母親に話を聞いた。
「もう10年になったし、役割を終えたかな、と。維持管理も大変やし、よか機会かなあと思って。閉館を決めたのは主人です。息子が残念がっているかって? それはないと思いますよ。メジャーに行くときに閉める考えもありましたから。ただ確かに、関西に行ったから、ファンの方が来られなくなった、というのはあると思いますね。遠くに行ったのでね…」
※週刊ポスト2012年6月1日号