夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回寄せられたのは、紳士靴メーカーに勤務のご主人(45歳)。奥様(45歳)は木登りが大好きです。
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女房は子供の頃、男の子たちと一緒に高い木に登って遊んでいたそうです。結婚して子供ができてからも、公園に行くと、僕が制止しても木に登っていました。
「親という字はね、木の上に立って、子供が無事に遊んでいるのを見守るって書くの。母親が木に登るのは当然の役目なのよ」というんですが、スカート姿で登るため、みんなが下から好奇の眼差しで見上げて困りました。
そんな女房も30代半ば頃から、登ろうとしても「悔しい」を連発するように。体力の低下と体重の増加で、以前のようにスルスルと登れなくなったんです。
「いい加減やめたら?」
「何いってんのよ! 高い木に登ると、下界を見下ろす気分が最高なんだから。早くお尻を押してよ!」
木登りの手助けです。この前なんか「肩車して」といわれ、立ち上がった途端、あまりの重さにくずれ落ち、女房は右腕骨折で病院へ。「妻の体を支えきれないなんて、アナタも年取ったわねぇ」って、そういうのを「自分のことは棚に上げて」っていうんだよ!!
※週刊ポスト2012年6月1日号