“加害者”による「結婚を視野に同居」宣言は、かえって二人の仲を心配させただけだった。
恋人・西山茉希(26)に対する早乙女太一(20、大衆演劇俳優)の“暴行”は、早乙女が説明したような「引っ張ったら倒れた」程度ではなかったようだ。
5月11日深夜の路上での大げんかを報じた『女性自身』(15日発売)によれば、口論の末タクシーに乗り込もうとする西山を早乙女が引きずり降ろし、別れ話を切り出した彼女を力任せに突き飛ばした。さらに起き上がる彼女の喉元をつかみガードレールに叩きつけたという。これが事実なら、間違いなくDV(ドメスティック・バイオレンス、家庭内暴力)である。
西山、早乙女ともに雑誌の発売前にそれぞれのブログで大げんかと仲直りを報告し、騒動を謝罪。早乙女だけ14日の公演終了後に冒頭の会見を開き、「感情的になりすぎた。もう二度としない」と語った。
この一件で二人の愛が深まるのなら「雨降って地固まる」で済むのだが、あるDV被害者支援団体相談員は、「二度としない、と信じていいのか。というのも、DVは多くの場合繰り返されるのです」と、西山を心配するのだ。
「普通、これほどの大きな暴力に至るまでには、当人たちも気づかないような小さな暴力から始まっているんです。男性は暴力をふるった後には急に優しくなるため、女性はそこにホロリとして許してしまう」
内閣府が4月に発表した調査によれば、結婚を経験した女性の3人に1人が夫からのDV経験があると回答し、そのうち4割が周囲に相談しなかったという。
「度重なる暴力によって女性は自尊心を失います。そうして判断力が低下すると別れられなくなってしまうんです」(前出・相談員)
DVに詳しい臨床心理士の信田さよ子氏も同意見だ。
「『二度としない』はDV男の常套句。心構えだけでは暴力はやめられません」
信田氏はカウンセリングでDV常習者に「頭がカッとなった時の前後の様子を冷静に思い出す」などのアドバイスをしているという。
※週刊ポスト2012年6月1日号