10月に5連休を作る「シルバーウィーク」構想を、民主党の「休暇のあり方検討プロジェクトチーム」がブチ上げた。 早ければ2014年から実施、民主党は12兆円の経済効果というが、はたしてこの新大型連休はトクなのかソンなのか。
元々、「シルバーウィーク」という名称は、1950年代に大映が映画館に多くの人に足を運んでもらおうと、「ゴールデンウィーク」に続いて命名したのが由来となっている。
それから半世紀以上たった2009年9月、曜日の関係で敬老の日や秋分の日、土日と合わせて5連休となり「シルバーウィーク」と呼ばれて一躍、流行語となった。今回の構想はこれを法制化しようというものだ。
プロジェクトチーム座長の藤本祐司議員がシルバーウィーク構想の目的を語る。
「実は有給休暇の消化率を高めるための過渡期の方策です。フランスやデンマークなどの有休消化率が100%なのに比べ、日本は47~48%。これを最終的には90%以上にしたい。そうなれば労働者に生活のゆとりが生まれるし、経済効果も上がり、雇用も増える。
とはいえ、いきなり有休消化率を上げるのは難しい。だから、皆さんに少しゆとりを実感してもらったり、地域経済や地域の雇用を少しでもプラスに転じるやり方として、シルバーウィークの導入を考えているのです」
連続休暇の経済効果は実に大きいという藤本氏。その根拠となっているのは、2002年に経産省や国交省などが「休暇改革は『コロンブスの卵』」と題して発表した報告書だ。日本の休暇の問題点として、有休の取得率が極めて低いこと、休暇の連続性がないこと、休暇が盆暮れやゴールデンウィークに極端に集中することなどを指摘し、そうした現状を変えることが経済再生のための「コロンブスの卵」になるとしている。
試算によると、その効果は11.8兆円という。年次有給休暇が完全に取得されることで、人々が旅行に出かけるなどして余暇消費支出が増える他、観光や飲食など様々な産業分野で140万人もの新規雇用が創出される間接的な波及効果もあるというのである。
「これは道路を作るのと違って、お金がかからずに12兆円が生まれるということ。もちろんメリットがあればデメリットもあるでしょうが、全体としてこれだけの効果があるのだから、やった方がいいじゃありませんか」(前出・藤本氏)
そうした経済効果を最大限高めるのが休日の分散化だという。混雑が緩和される他、連休だけ混んで後は閑散としていた観光施設に満遍なく人が来るようになると想定されている。
※週刊ポスト2012年6月1日号