今年度予算の生活保護費は約3兆7000億円で、受給者は約209万人(152万世帯)。その多くは高齢者世帯であるが、2008年のリーマン・ショック以降は15~64歳の「稼働年齢層(基本的に就労が可能な世代)」の受給者が増え、過去5年間で約11万世帯から約23万世帯へと倍増している。
そのうち「不正受給」は0.4%(128億円。2010年度)。
そもそも生活保護の「支給条件」はどうなっているのか。ごく簡単にまとめれば以下の3点とされる。
【1】生活に最低限な必要な収入を得るだけの労働が不可能な状態にある
【2】十分な貯蓄がない
【3】親族等から支援が得られない
この中の【1】にはややグレーな部分がある。「労働は困難」という診断書があれば、申請はほぼ受理されるというのだ。
「医師に確認したら“軽度の労働は可能”との見解を得られたので、就職するように促した事例もありますが、この時も生活の緊迫性を考慮して支給を認めた。申請者やその関係者が医師と結託して診断書を“偽造”するケースもあるが、それを我々が見抜くのは極めて難しい」(京都市内の福祉事務所担当者)
このような事情からか、申請がハネられるケースは意外と少ない。4人に1人が受給者となっている大阪市・西成区では、今年3月の申請317件に対して9割以上の290件に新規受給が認められている。
※週刊ポスト2012年6月1日号