国内

シルバーウィーク構想に「お節介」「仕事した方がマシ」の声

 10月に5連休を作る「シルバーウィーク」構想。民主党の「休暇のあり方検討プロジェクトチーム」が検討しているもので、最短で2014年から実施されるという。

 あるサラリーマンは今回の構想にため息をつく。

「妻子のある身で、こう大型連休ばかりあっても正直きつい。ゴールデンウィークは旅行、お盆は帰省……その上、10月に休みがあってもねぇ。家にいたら『どこかに連れて行け』といわれるから、いっそのこと仕事をしていた方がマシ」

 今回の構想に、こうした声は実に多い。経済評論家の山崎元氏もその一人だ。

「私はシルバーウィーク導入について懐疑的です。そもそも日本は先進国の中でも祝日が多い方ですし、ハッピーマンデーのお陰で連休のありがたみも低下しています。そうした中で、政府がさらに『まとめてここで休め。休むついでにまとめてカネを使え』というのは余計なお節介です」

 2009年9月のシルバーウィークの際は、各地でゴールデンウィーク並みの大渋滞ができ、各地の観光施設も大混雑。旅行業界を中心に確かに特需に沸いた。しかし、そうした一方で、道路が混み合いトラック運転手などから「仕事にならない」と批判が出るなど、困惑の声も多かった。

 また、民主党が5連休の目的として挙げる「経済効果」も甚だ疑問だというのは人事コンサルタントの城繁幸氏だ。

「2009年の時は曜日の並びが良かったため、1985年に施行された改正祝日法の『2つの祝日に挟まれた平日を休日とする』という条項が適用されて休みが増えたので効果がありましたが、今回の構想では、トータルの休みの数は同じですからね。旅行に行く人は増えるでしょうが、家計も厳しい中、7月や9月に使わなくなったお金が5連休に回るだけ。個人消費を増やす苦肉の策なのでしょうが、意味があるとは思えません」

 さらに社会保険労務士の藤川太氏は、地域別に休暇をずらすことについても弊害は大きいと指摘する。

「たとえ地域別に休暇をずらしても、同じ地域から出て同じ地域に帰るわけですから交通渋滞が緩和するとは考えられない。それどころか実家の家族や地元の友人と休みが合わないなら近場で済まそうとなるので、効果も半減しますよ」

 実際、2010年に内閣府が行なった世論調査では、休日の分散化について「全国一律の連休でないと、家族・親戚、知人と休みが合わなくなる」といった理由で56%が反対している。2年を経て数字に大きな変化があるとも思えず、その経済効果だけが独り歩きしているようにも思えてくる。

※週刊ポスト2012年6月1日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
“鉄ヲタ”で知られる藤井
《関西将棋会館が高槻市に移転》藤井聡太七冠、JR高槻駅“きた西口”の新愛称お披露目式典に登場 駅長帽姿でにっこり、にじみ出る“鉄道愛”
女性セブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン