ロンドン西部、テムズ河のほとりにある英国王室の居城として知られるウィンザー城で5月18日、エリザベス女王(86才)即位60周年を祝う午餐会が開かれた。会には欧州、アジア、中東、アフリカの王族や首長が一堂に会したが、そんななか、女王のすぐ左隣に座られたのが天皇陛下(78才)だった。
「美智子さま(77才)も、女王と同じテーブルに着席されるなど、両陛下は英国側から厚遇を受けられました。それは女王と陛下の60年に及ぶ“友情の証”といえるでしょうね」(同行した皇室記者)
皇室と英王室の交流はいまから140年ほど前にさかのぼり、1869年(明治2年)ビクトリア女王の次男・エジンバラ公が日本を訪問したのが始まりといわれている。
1902年、日英同盟が結ばれると両国の交流は深まり、日本からは、1911年、東伏見宮依仁さまが英国王・ジョージ5世の戴冠式に出席するため、皇族として初めて訪英を果たしている。
時代が大正に移ると、1921年、当時、皇太子だった昭和天皇が英国訪問を果たす。後に昭和天皇は、このときのことをこう振り返っている。
「イギリスの王室は、私の第2の家庭だ。ジョージ5世からイギリスの立憲政治の在り方をうかがったことが、ずっと私の頭にあり、つねに立憲君主制の君主はどうなくてはならないかを考えていた。ジョージ5世陛下の慈父のような温かいもてなしの数々は、終生忘れることができない」
そして英王室は日本の皇室のライフスタイルにも大きな影響を及ぼしたのだった。
「帰国後、昭和天皇は和装をやめて洋服の生活に切り替え、朝食もハムエッグにトースト、あるいはオートミールという英国流の生活を取り入れられたんです」(静岡福祉大学福祉心理学科・小田部雄次教授)
なかでも皇室にとって最も意味深い改革となったのが“一夫一婦制”の確立だった。それまでは男子誕生のため、側室という制度があった。
「万世一系の皇統のなかで昭和天皇が敢えて“一夫一婦制”というリスクを持ち込まれたのは、“ファミリー”を大切にする英王室を見習ってのことだったんです。それ以降、日本でも“ファミリー”としての皇室を強く意識するようになっていきました」(前出・小田部教授)
※女性セブン2012年6月7日号