B型肝炎は東アジアに多い病気で、とりわけ50代以上の年齢層では感染歴のある人は20~25%、1000万人以上と推計される。
このうち100万~130万人が血中にB型肝炎ウイルス(HBV)の抗原が検出される持続感染者(キャリア)であるが、その他は感染しても自然に治り、感染を自覚しないまま肝臓内にHBVを持っている既往感染者である。
近年、リウマチやがんなどで免疫抑制剤や抗がん剤治療を行なった際にHBVが増殖し、劇症肝炎を発症する症例がでており問題になっている。埼玉医科大学病院消化器内科・肝臓内科の持田智教授に話を聞いた。
「2001年頃からリウマチやがんの治療で、生物製剤と呼ばれる強い免疫抑制効果のある新薬が登場し、治療効果が上がっています。しかしこの薬がきっかけで、肝臓内に潜んでいたHBVが再活性化して増殖し、肝炎が重症化する症例がでてきました。最悪の場合は死亡するケースもあります」
(取材・構成/岩城レイ子)
※週刊ポスト2012年6月1日号