少子高齢化が加速する今後は、生活保護費、医療費、年金、福祉費、介護費などの社会保障費が、ますます膨張して国民の負担が増大する。では、これからどうすればよいのか? 以下は、大前研一氏の見解だ。
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生活保護の不正受給を防ぐためには、受給資格をもっと厳正に審査する仕掛けを作ることだ。
偽装結婚をして、母親と子供は母子家庭として受給し、実質的にまだ夫婦同様の人に生活保護を支給するのは言語道断だし、年金についても、子供や孫が10年も20年も前に死亡した親や祖父母の分をもらい続けていることが把握できないようでは話にならない。
これは日本が「個人」を把握するシステムを持っていないことに根本的な問題がある。だが、今のサイバー社会では、1億3000万人をコンピュータで一元的に把握するのは非常に簡単であり、コストもたいしてかからない。
だから政府は国民を番号で管理する「マイナンバー」制度を含めた個人認識システムを早急に構築し、年金、生活保護、納税に関するルールを作って厳格に運用していくべきなのである。
そして、制度を悪用した者には禁固5年以上くらいの厳罰を科す。これが私が以前から提案している「年金と生活保護と税の一体改革」だ。
※週刊ポスト2012年6月1日号