“入れ墨職員”の根絶を宣言し、またも話題を集めている大阪市長の橋下徹氏(42才)。そればかりでなく、雑誌がこぞって「橋下首相が誕生したら」という特集を組み、テレビでは連日、一挙手一投足が報道されている。
タレント弁護士だった橋下氏は、2008年に大阪府知事に当選してからわずか4年で「首相候補」といわれるまでになった。橋下人気の背景を『橋下徹 改革者か壊し屋か──大阪都構想のゆくえ』(中公新書ラクレ刊)著者でジャーナリストの吉富有治さんが解説する。
「民主党も自民党もだらしがなく、リーダー不在の状況です。しかも庶民の暮らしは良くならず、政治への不満がたまっている社会情勢のなか、どんな問題にも批判を恐れず斬り込んでいく橋下さんに、“リーダーになってほしい”という期待が高まっている」
他の政治家との違いは何か。強く印象に残るのは、常にメディアや府職員、有名人などとバトルを繰り広げる彼の姿だ。舌鋒鋭く、時にジョークを交えながら、時にやりすぎではと思うほど熱く相手をやり込める橋下氏の手法に、人々はつい目を向けてしまう。そして、それが頼りになるリーダー像にもつながっている。橋下氏をよく知る吉富さんはこうつぶやく。
「一見、感情的に見える橋下さんのケンカですが、その裏側にはしたたかで冷静な分析と、勝算が隠されているんですよ」
一方、橋下氏が首相になる現実味はどうだろうか。橋下氏の率いる地域政党「大阪維新の会」は現在、大阪府議会、大阪市議会の第一党。遅くとも来年夏には行われる次の総選挙で国政進出を狙っている。政治・経済に詳しいジャーナリストの須田慎一郎さんが予測する。
「野田内閣の政権運営が行き詰まり、早ければ年内にも総選挙が予想されます。ここで脱原発、反消費税を掲げる大阪維新の会は反民主勢力を束ねる役割を担います」
獲得できる議席数については、「40~50議席程度はいくのでは」(須田さん)。この議席数は、自民、民主には及ばないと予想されるが、橋下人気がさらに高まれば、両党から大阪維新の会に合流する議員が増える可能性も。今後の“風向き”次第ではまさかの橋下首相誕生もありうるのだ。
※女性セブン2012年6月7日号