フジテレビの凋落が止まらない。かつて年間視聴率3冠の座に君臨していた輝かしき民放局は、いったいなぜ、人気ナンバーワンの座から滑り落ちてしまったのか。そのヒントは、2009年に始まったNHKとフジテレビとの積極的コラボレーションにあると、作家で『五感のチカラ』著者の山下柚実氏は指摘する。以下は、山下氏の視点である。
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フジテレビの危機が叫ばれています。オダギリジョー主演のドラマ「家族のうた」が低視聴率で打ち切り。エースと呼ばれる伊藤利尋アナが、当て逃げ。フジテレビ社員の暴行・器物損壊容疑、飲酒運転で追突事故の疑いと、逮捕報道も続いています。
だいじょうぶ? フジテレビ。
かつては7年間も年間視聴率3冠(全日、ゴールデン、プライム)の座に君臨していた輝かしき民放局。それが、日テレに負けて首位陥落で巻き返しもままならない中、視聴率低下に次々のスキャンダル。焦りも大きいはず。
いったいなぜ、人気ナンバーワンの局が一気に凋落してしまったのでしょうか? その原因の一つとして指摘されているのが、地デジ化。「8チャンネル」がラテ欄で一番右の端になったことが、視聴率低下の要因の一つとして語られています。
視聴者の目に留まりにくくなり、リモコンボタンでも後の方になってしまったことが、視聴率に影響したのではないか、というのです。
しかし、原因はそれだけではないはず。もしかしたら、「フジテレビの凋落」は、「NHKのフジテレビ化」と関係があるとは言えないでしょうか?
NHKがフジテレビと積極的にコラボレーションを始めたのは2009年。ともに開局50周年を迎えたことがきっかけで、番組作りでも協力関係が促進されていったもようです。
NHKも、「視聴率」を高めようと躍起になっていた時期。両局は番組出演者の相互出演や、同時生放送、グッズ開発などで「コラボレーション」を深めていきました。
ご存じのように、NHKはタレントやバラエティに強い民放の手法を吸収することで、若者の関心をひこうとし、番組内容も変化していきました。
何人ものタレントを束にしてスタジオにズラリと並べる。お笑い芸人とタレントがクイズに答えるといった番組作り。ジャニーズやAKBの集客力に依存するパターンも目立つように。NHKのアナウンサーがニュース番組の中で意味無く甲高い声を出してはしゃぐ、女子アナ化……。
「わいわいがやがや、お笑い芸人とタレントばかりでウルサイ!」。と頭にきてチャンネルを替えたら、それがNHKの番組だったことに気付く、なんてことも今や珍しくありません。民放の旅番組の静けさに癒されるという逆転現象も生まれています。
NHKが、「視聴率アップ」に奔走したその結果、「NHKのフジテレビ化」はみごとに進んだ。しかし、フジテレビは二局はいらない。1チャンネルでバラエティ番組を堪能したら、もう8チャンネルにあわせなくても十分。
そんな「NHKのフジテレビ化」によって、もしフジを見る人が減ったのだとしたら……。ブラックジョークとしか言いようがないですね。
お笑い番組、バラエティ番組を重視しているNHKの姿勢には、国会議員からさえ苦言が呈される時代。今後、1チャンネルと8チャンネルの内容は、どこへ向かうのか。両局の変化に注目です。